割るのは好きだが
沖縄では旧盆になると仏壇にお供え物をするが、御三味(ウサンミ:天麩羅、かまぼこなどの料理)の他、果物も何種類か供えられる。スイカとパイナップルは単独で、ナシ、バナナ、ミカン、リンゴなどは一つの盆に盛られて飾られている。スイカとパイナップルが単独で飾られるのは、それらが大きすぎて盆の上に乗らないからであろう。
子供の頃、果物はあまり好物では無かったということもあって、供え物の果物の中に私の好物は無かった。好んで食べたのは桃くらいだったと記憶している。バナナやミカンはまだ食べる方であったが、ナシやリンゴは好んでは食べなかった。
仏壇に単独で飾られている大きい果物のうち、パイナップルの好物度はバナナやミカンと同クラス。だが、缶詰のパイナップルは好きであった。・・・と、ここで気付いた。バナナやミカンは皮が剥きやすくて食べやすい。パイナップルも缶詰なら面倒が無い。生のものでもその皮は厚く切るので比較的楽。しかし。ナシやリンゴの皮は薄く剥かなければならない。面倒臭がり屋の私は、そういったことで好物が決まっていたようだ。
仏壇に単独で飾られている大きい果物のうちのもう一つ、スイカについては、のどの渇いた時に食べると美味しいと思う。が、普段の場合だとこれは苦手な果物であった。何故かははっきりしている。皮が剥きにくいとか、切りにくいとかでは無い。スイカは、その果肉を口に運んで、口の中で種を分離して吐き出す、その作業が面倒なのである。
子供の頃から現在まで、以上のような理由で、私はスイカを好んでは食べない。おそらく買ったことも無い。他所で出された時には食べるが、それも1切れで済ませている。ただし、子供の頃、浜辺でスイカを割るのは大好きであった。
スイカ(西瓜)
ウリ科の一年草 熱帯アフリカ原産 方言名:クヮントゥイ
漢字では水瓜とも書くが、水分の多い瓜ということであろう。西瓜は、西の地域からやってきた瓜と想像されるが、西の地域がどこなのかは不明。原産はアフリカ中部。
多くの品種がある。沖縄では球形、やや楕円形がほとんどだが、世界には長楕円形、俵形のものもあるとのこと。そういったものを、私もテレビで見ている。果肉には淡紅・紅・黄・クリーム色などがあり、黄色いのは私も食べたことがある。
タネナシスイカもあるが、種子も食用となるらしい。皮近くの白い部分を漬物にして食ったりもした。沖縄では今帰仁村が産地として有名。海水浴の後のスイカは格別。
記:ガジ丸 2006.11.13 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行