異次元空間での話。宇宙の運行システムを管理する組織の、下部の下部の下部の、そのまた下部辺りに、太陽系の運行システムを管理する部署がある。その会議室で、
「ボス、地球の軌道を元に戻すのは、やはり急には無理です。基本生命に影響がないようにするためには100年ほどが必要です。」と職員の一人が言う。
「100年だと、地球の平均気温はどのくらい下がる?」
「軌道修正プログラムが働いてから30年後くらいにもっとも下がりますが、その時で約3度くらいです。」
「そうか、3度くらいではどうにもならんな。地球温暖化の分を差し引くと1度か、せいぜい2度しか下がらないということだからな。困ったもんだな。」
「どうしましょうか?氷河期プログラムをそのまま続行するか、修正プログラムを働かせるかのどちらにするか、決めなければなりませんが。」
「どちらがより早く、効果的に人類に打撃を与えることができるかなんだがな。判断の難しいところだな。・・・しかし、温暖化なんて、こんなに早く来るなんて予想していなかったもんな。人類滅亡のための氷河期プログラムが、人類の延命に役立つとはな。まったく、皮肉なもんだな。」とボスは言い、ハーッと一息、溜息をつく。
「でもボス、」と別の職員が口を挟む。「氷河期と温暖化が相殺するとは限りませんぜ。夏はより暑く、冬はより寒くなるって可能性もありますぜ。夏場に極部の氷が溶けて、海面が上昇して、陸地の多くが水没して、冬場に海面が凍って、地球の多くが氷に覆われる。まあ、人類にとっては踏んだり蹴ったりの状態になるってこともありますぜ。」
「おー、そうか、そういうこともあり得るか。」とボスの表情が少し緩む。
「神様には何と報告しましょうか?」と最初の職員。
「そうだな。氷河期プログラムはそのまま続行ということにしよう。修正プログラムの発動は無しということだ。うまくいくかどうかは神頼み、ってこった。」
なんて話が異次元空間のどっかであったかどうか知らないが、いやいや、こんな寒い12月の沖縄なんてのは、私も初めての経験である。HPをアップするために使っている職場は暖房器具が無い。今朝10時半から作業していたが、3時間後の1時半にはついにギブアップ。暖かさを求めて、2階にある喫茶店に我が身とパソコンを移動させて、そこで作業を続けることにした。で、今そこにいて、この記事を書いている。
喫茶店には石油ストーブがある。暖かい。それはいいのだが、この喫茶店は女性客が多い。9割方そうだといっていい。そのうち、オバサンの占める割合もまた9割ほど。そのオバサンたちには顔見知りも多い。ここにいるとちょくちょく声を掛けられる。それもまだいい。私はカウンターに座っているが、隣の席にオバサンたちが並んで座ると、私の作業がはかどらなくなる。彼女たちは煩いのである。口の閉じることが無いのである。
「あんた、何難しい顔して、一人でパソコンばかり見ているのよ。何が楽しいの。たまにはこっち見て、話に入りなさいよ」などとほざきやがる。煩いのだが、だからといって、暖かい部屋から氷河期のような部屋に戻るのは辛い。あんまり寒いと脳味噌まで凍りそうな気がする。氷河期プログラムが、もしも作動しているならば、止めて欲しいものだ。
記:2005.12.22 ガジ丸