芋の澱粉
将来は、田舎に畑を借りて、芋を植え、育て、収穫し、それを食って生きるという芋生活を目指しているが、今年は、アパートの小さな畑にごく少量、7、8株ほどを植えて、芋生産を実際に体験してみることを計画している。芋の栽培、及び管理方法を覚え、1株からどれだけ収穫できるか、1坪からどれだけ収穫できるかを確認し、どれだけの量があれば男一人生きていけるかを調べ、将来どれだけの広さの畑が必要かを計算する。
今年の計画はもう一つ。芋生活は毎日の食をほぼ芋に頼る。なので、芋に飽きないようにしなければならない。ということで今、芋料理をあれこれ試し、研究している。
これまでに、普通の蒸かし芋の他、イモガリガリ(芋のポテトチップ)、ウムニー(きんとん)、芋羊羹などを作ってみたが、どれもまあそんなもんであろうという出来。それら以外に一つ、これはなかなかと思うものがある。薄くスライスして、オーブントースターで焼いて、冷蔵庫で乾燥させたもの。甘味は少ないが、その分、塩を振ったり、マヨネーズをかけたり、ハムやチーズを乗せてカナッペ風にした りと、いろいろな味が楽しめて飽きない。乾燥がきっちりできればたぶん、日持ちもするに違いない。
これまで試している芋料理は、芋を芋のままあれこれ味付けしたものだが、芋を加工してできる食品も沖縄の伝統にある。ンムクジと言う。ンムクジは芋葛のウチナーグチ読みで、芋のデンプンのこと。葛粉のように白い粉。
ンムクジから作られる食べ物は、ンムクジアンダーギーやンムクジプットゥルーなどが伝統料理としてあり、琉球料理店へ行くと食すことができる。 その他、ンムクジヒラヤーチー、クジムチなどがあり、このHPで既に紹介しているンムクジソーミンもある。
※ンムクジアンダギー;芋葛を蒸してこねたものを油で揚げたもの。
ンムクジプットゥルー:芋葛に具材を混ぜ、味付けし、油で焼いたもの。
ンムクジヒラヤーチー:芋葛を小麦粉代わりにした薄いお好み焼きのようなもの。
クジムチ:葛餅のこと。
ンムクジソーミン:春雨のこと。
芋料理に飽きないためには自分でンムクジを作り、ンムクジ料理もいろいろ覚えなければならない。芋からンムクジを精製する方法は片栗粉と一緒。小学校の頃、理科の実験でやった覚えがある。擂って、水に浸して、漉す。『沖縄大百科事典』にンムクジシリーという道具が紹介されている。おろしがねの一種で、芋を擂るのに用いる。それはまあ、普通の大根おろし器で代用できよう。ンムクジ作り、そう難しくはないはずだ。
難しくはないだろうが、ンムクジ作りは手間と時間がかかりそうだ。今はその余裕が無いので、しばらくはンムクジ料理、市販のンムクジを使って挑戦してみようと思う。ンムクジはどこのスーパーでも普通に売られている。
※片栗粉:カタクリ(ユリ科の多年草)の地下茎から製した澱粉。現在、市販の片栗粉の多くはカタクリではなく、ジャガイモの澱粉とのこと。
記:ガジ丸 2009.2.23 →沖縄の飲食目次