ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

普通の沖縄『人魚に会える日』

2016年04月29日 | 通信-音楽・映画

 3月11日付週一日記は『天からの警告』というタイトルで、「その夜も9時半頃にコロッと寝入った。ところが、いつも楽しい夢ばかり見ているのに、その夜は悪夢にうなされて何度も目覚めた。そんな夜が月曜日まで続いた。」と書いたが、その4日後、3月15日、畑仕事を午後2時頃には引き上げ、我が家の位牌を預けてある寺へ行って、祖父母の合同命日のウートートゥ(祈りの言葉)を行い、スーパーに寄って生活用品や食い物を買い、アパートに着いたのは午後5時頃。私の部屋は2階、階段を上がってその踊り場から、ツバメのような大きさと形をした白い鳥が飛んでいるのを見る。
 白い鳥というとシラサギの類、白いハト、白いインコなどが思い浮かぶが、ツバメのような大きさと形をした白い鳥は、図鑑にも載っていない。4月8日付ガジ丸通信『一人だけど独りじゃない』の中で過去の不思議体験を書いたが、母が病に倒れるその2ヶ月余前に私は「悪夢にうなされて何度も目覚め」る体験をし、図鑑にも載っていない不思議な鳥を見ている。なので、この日の不思議な白い鳥も「何か悪いことが?」と思う。

 そう思いながらもウチナーンチュらしく呑気な私は、3月17日、久々に映画を観に行った。去年10月26日の『シャーリー&ヒンダ』以来の久々。映画館は『シャーリー&ヒンダ』同様、桜坂劇場、私はもう長いこと桜坂劇場以外の映画館には行っていない。
 観た映画は沖縄出身の若い(まだ大学生とのこと)監督の作品『人魚に会える日』。沖縄を舞台にした映画で、桜坂劇場のチラシによる紹介では「女子高生が・・・基地建設問題と向き合っていく様を描く・・・(監督の)基地問題に対する想いが凝縮された作品となった」とあった。それについての私の感想は、「どう思う?」と問題提起し、「明快な答えが見つからない」と答え、そのまま映画は終わったように感じた。
 私の興味を引いたのは、基地問題よりもむしろ、普通の沖縄であった。映画の中の人々の会話は普通の日常で、特に、登場人物たちの喋っている言葉や喋り方には感心した。主人公のユメの喋る言葉、喋り方は、私の知っている女子高生とまったく同じで、大人たちの飲み屋での会話も同様、私のすぐ隣に存在する光景だ、セリフに違和感が無い。
 というわけで、映画は「今、沖縄のどこかで実際に起きていることである」と私に思わせ、私をすんなりと映画の世界へ引き摺りこんでくれた。

 映画はまた、普通の沖縄を表現しつつ、そこに普通でない沖縄も並行して見せた。登場人物の中に普通でない人も混ぜ込んだ。役者の数人を私はテレビや映画で過去に観ているが、「川満しぇんしぇー」と愛称される川満聡の演じる教師の気持ち悪さは、「お笑い芸人としても一流だが、上手い役者でもあるんだ」と感心させられた。もう1人、この世のものかと思わせる雰囲気を持った女性が登場する。「迫力あるなぁ、この顔」と感心したのだが、誰だか分からない。エンドロールを見て、歌手のCoccoだと知る。
 元より不思議雰囲気を持っている役者たちの力もあり、普通の沖縄のすぐ傍に普通でない沖縄が存在しているということを映画は上手に表現していると私は感じた。
 1週間ほど前の悪夢にうなされた日々、2日前の不思議な白い鳥、そこから9年前の不思議体験を思い浮かべつつ、映画を楽しむことができた。ただ、ラストシーンが意味するところを私は理解できなかった。何で助かったの?の答えが見つからなかった。
          

 記:2016.4.29 島乃ガジ丸


サキシマバイカダ

2016年04月29日 | 動物:両性・爬虫類

 轢き殺せという不文律

 2004年11月12日付記事『アカマタ』の頁でも既に書いているが、同じことをそれ以前にメール(相手が誰かは覚えていない)もしている。そのメール文を再掲載。

   村の掟
 朝食を取ってから12時の帰りの船便までの時間、私は散歩。傘をさして山に登る。途中の舗装道路の上で死んだ蛇を発見、まだら模様ではあったが、ハブでは無さそう。デジカメで撮る。民宿の人にその写真を見せると、それはアカマタでしょうと言う。車に踏まれたのでしょうと言う。「道路上に長いものがくねくねしていたら、それが何であれ車で踏み潰す」というのが村の掟となっているとのこと。ヘビに生まれたばっかりに何とも災難なこった。南無阿弥陀仏。

 以上は2003年6月に訪れた渡嘉敷島での出来事だが、似たようなことが2011年9月に訪れた与那国島でもあった。アスファルト舗装の路上に1匹のヘビが頭を轢かれてお陀仏していた。そのヘビ、ハブでもアカマタでもガラスヒバァでも無い。私が知っているヘビの種類は数少なくて、それが何であるか分からなかった。
 八重山与那国の旅から帰ってから図鑑を片手に調べる。サキシマバイカダという種であることが判る。無毒のヘビとある。無毒なのに殺される。ヘビに生まれたばっかりに何とも災難なこったとこの時も私は思った。南無阿弥陀仏と手を合わせるしかない。

 
 サキシマバイカダ(先島ばいかだ)
 ヘビ(ナミヘビ)科の爬虫類 方言名:不詳
 全長80センチ内外。宮古、八重山諸島の固有亜種。台湾にバイカダが生息する。
 名前の由来は資料が無く不詳。サキシマ(先島)については、先島は宮古諸島及び八重山諸島のことを指し、本種がその先島の固有亜種であることから付けられているのであろう。バイカダについては不明。梅花蛇という意味であれば素敵と思うが・・・。
 台湾に基本亜種バイカダが生息するとのこと。本種は「森林内、または、それに隣接した所に住んで」(ふる里の動物たち)いて、「おもに早朝と夕刻に活動し、メクラヘビ、カエル、ミミズなどを捕食する」(沖縄大百科事典)とのこと。
 個体数は少なく滅多に見られないともあった。私が見たのは与那国島の道路上、車に頭を轢かれ息絶えた状態のもの。滅多に見られないないものが轢かれていた、惜しいことだと思うが、ヘビを見たら轢き殺せという不文律があるものと思われる。無毒のヘビ

 記:2016.3.25 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


2011秋八重山オヤジ2匹旅 後編

2016年04月29日 | ガジ丸の旅日記

 新城編

 1、荒波の新城(あらぐすく)島

 17日午後、台風の影響による海の荒れで帰れないかもという危惧もあったが、船は通常通り出港するとのことで、我々の旅も予定通りに進める。波照間島から14時20分発の西表島大原港経由石垣行きの船に乗り、我々は経由地の大原で降りる。
 波照間からその日の宿の民宿に電話。宿の亭主は新城島への渡し船の船長でもあった。渡し船は漁船で、宿の亭主はウミンチュ(海人:漁師)でもあった。
 「新城島へは渡れそうですか?」
 「何とかなりそうです。」とのことであった。
 
 大原港へ着くと宿の亭主が車で迎えに来てくれていた。同行のKと2人、その車に乗って宿へ。チェックインして荷物を置いて、同じ車、同じ運転手で港へ引き返し、同じ運転手が操舵する小舟に乗り、新城島へ向かう。海は荒れていた。
 「揺れるから屈んでいるか、何かに掴っていた方がいい」という船長の助言に従い、オジサン2人は揺れる船から振り落とされない様、それぞれそれなりの体勢をとる。新城島は西表島と黒島の間にあり、約15~20分ほどの船旅。
     

 船長の言う通りまあまあ揺れたのだが無事、新城島へ着く。新城島は2つの島、上地島と下地島からなり、我々が上陸したのは上地島。オジサン2人トボトボ歩く。下地島へ向かって歩いていると、島の人に「ここから先は行くな」と注意された。オジサン禁制の島というわけでは無く、たまたま何かの行事(神事?)があったようだ。
     

 オジサン2人は上地島のみを散策し、夕方には宿の亭主が待つ船着き場へ戻って、往路と同じ小舟に乗り西表島へ向かう。台風接近で波が荒れるというのは往路と同じであったが、海は満潮に近付きつつあり、荒れ方はより増していた。スリルある船旅だった。
     

 港から船長であり宿の亭主でもあるオジサンの車で宿へ、宿の名前は「民宿やまねこ」という。「やまねこは宮沢賢治と何か関わりがあるの?」と訊くと、亭主は怪訝そうな顔をして、「イリオモテヤマネコだよ」と答えた。そりゃあそうだ、ここは西表だ、イリオモテヤマネコが先に思い浮ばなかった私がマヌケであった。
 古い建物で、四畳半にオジサン2人枕並べての睡眠、寝心地は悪かったが、亭主も女将さんも感じの良い人達で楽しかった。夕食に泡盛2合をサービスしてくれた。


 2、データ:沖縄県企画部地域・離島課のサイトから抜粋

 新城島は、上地(かみぢ)島と下地(しもぢ)島の2つの島からなり、下地島は島全体が牧場となっています。隣接する2つの島で新城島と呼ぶため、八重山の人々は、通称「パナリ(離れ島)」と呼んでいます。
 この島で焼かれていた素焼きの原始的な焼物「パナリ焼」は、その素朴な風情で人気を集めています。
     



 西表編

 1、オヤジ二人にオヤジのガイド

 18日は朝から西表島観光。午前中は車を借りてドライブ。同行のKを由布島へ渡る牛車のある海辺で降ろして、私は西表野生動物保護センターへ。その手前に栽培植物展示場みたいなのもあって、私はその2ヶ所を見学し、大満足する。
 Kが由布島から戻ってくる予定時刻に合わせ、Kを降ろした場所へ戻り、Kを拾って民宿へ戻り、荷物を取り、レンタカーを返して、宿の亭主に港まで送って貰う。
 そこから仲間川のクルーズ・トレッキングに参加し、その後ガイド付き探検。ガイドはオジサン、オジサンがオジサン2人を引き連れて仲間川周辺を案内してくれた。
     
     


 2、会いたいものに会えず

 西表島で私は見たいものがあった。で、ガイドのオジサンに、
 「カンムリワシ、オオコウモリ、ニッパヤシを見たいんですが?」と訊いた。
 「ニッパヤシは浦内川(島の反対側)の方です。オオコウモリは昼間見つけるのは難しいです。カンムリワシは探してみましょう。」と応え、浦内川の集落や山林をあちらこちらを回ってくれた。しかし、そうやって親切なガイドがしばらくサービスしてくれたのにも拘わらず、カンムリワシ、オオコウモリにはついに会えなかった。
 夕方には石垣島へ渡り、石垣島に泊る。
     


 3、データ:沖縄県企画部地域・離島課のサイトから抜粋

 「日本のアマゾン」、または「東洋のガラパゴス」と形容されるほど手つかずの自然を誇る西表島は、県内では沖縄本島に次いで広大な面積を有する島です。
 地形は大半が山岳で占められ、大小無数の河川が山をぬって流れ出ています。東部地区の仲間川、西部地区の浦内川の河口流域には、我が国最大のマングローブ林が広がっています。また、原生林の中には20世紀最大の発見と言われた「イリオモテヤマネコ」をはじめ、亜熱帯の動植物が生息していま す。
     


 4動植物

 西表島では会いたいものに会えなかったが、「初めまして」の植物もあった。「初めまして」ではなかったが、オヒルギの花がきれいに撮れたりした。
     
     
     



 石垣編

 18日、夕方には石垣へ渡り、石垣島の夜を楽しんで、翌日はレンタカーを借りて石垣島観光をした。その話の前に16日午後の話から。
 16日、お昼12頃には石垣空港へ着く。石垣に着いて、同行のKは港から船で竹富島へ渡り、私は石垣島散策、原付を借りてバンナ公園を散策。


 1、広大な公園

 二日目16日の昼間は単独行動となる。Rは竹富島へ、私は石垣島。
 何年か前に八重山を旅した時、沖縄県の最高峰(といっても標高500m程)である於茂登岳登頂を途中断念したので、その再チャレンジを初め考えていたが、今回は観光案内地図で発見した石垣島の大きな公園、バンナ森林公園を散策することにした。
 地図で見た大きな公園は実際にも広大であった。バンナ公園の広さは約290ヘクタール、沖縄のあの海洋博公園で約72ヘクタール、ディズニーランドとディズニーシーを合わせた広さが約100ヘクタールらしいので、その広大さが判ると思う。
     
     
     
     

 だだっ広い公園を散策した。地図で見ると私が散策したのは全体の10分の1とか、せいぜい10分の2くらい、それでも3時間を費やした。その3時間で、私がまだ出会っていないいくつかの植物動物に出会えた。写真も撮れた。時間があればもっと多く歩いて、もっと多くの動植物に会えたと思うが、まあまあ満足の散策となった。
     
     
     
     
     
     
     


 2、デジカメ、充電切れ

 上記の話からワープして18日の夕方、西表島から石垣島へ船で渡る。ホテルにチェックインして、7時頃からオジサン2人で近くの飲み屋へ、イノシシのスタミナ焼きなどを肴に10時頃まで飲んで、ホテルに戻ってぐっすり睡眠。

 翌19日、朝9時頃、レンタカーを借りて石垣島観光。八重山鍾乳洞自然動植物園へ行き、公園内にいたリュウキュウイノシシとセマルハコガメの写真を撮ったところでデジカメの充電が切れる。空港へ行って、そこの売店でインスタントカメラの「写るんです」を買うが、それで撮った写真が行方不明。そもそも、カメラ屋にフィルムを持って行ったかどうかも覚えていない。というわけで、石垣島の話は以上。
 15時00分発石垣発15時55分那覇着の便に乗り、那覇へ帰る。
     
     


 3、データ:沖縄県企画部地域・離島課のサイトから抜粋

 石垣島は、沖縄本島から南西約410㎞、宮古島から西南西約125㎞、台湾から東約280㎞の位置にあります。
 島の中部は、県内で最高峰の於茂登岳(おもとだけ、標高526m)をはじめとする山々が連なる山岳地帯になっており、それを背にする格好 で、南部には平野が広がっています。湾岸、半島、岬、海浜など多様で豊かな自然環境を有し、亜熱帯気候と島嶼郡からなる特性を活かした農業、漁業、観光業 を中心に経済活動が営まれています。
     

 以上で、オジサン2匹最西端・最南端の旅はお終い。

 記:ガジ丸 2016.3.25 →ガジ丸の旅日記目次