ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

修行の向こうに

2009年10月09日 | 通信-その他・雑感

 同僚の若いMが今、公共工事の現場監督をやっている。彼は経験があまり無いので苦労している。私は週に三日しか出勤せず、また、書類作りや図面書きなど内勤の仕事があるので、一緒に行動できることが少なくて、あまり助けになってやれない。現場作業においては私よりずっと頼りになるBは去年、同じく頼りになるTは今年、相次いでリストラされているので、若いMが相談できるのは私を除くと社長しかいない。

  「相談に行っても社長はすぐ怒鳴るんですよ。静かに話せば互いに何を言っているか解るし、解決策も見つかると思うんですけど、何でですかねー。」と先週、現場から帰ってきたMが、疲れた表情を見せながら私に愚痴をこぼす。
 工事自体面倒な工事であると、図面の多少読める私はある程度予想していたが、社長はそうは思わなかったみたいで、次から次へと起こる問題をMに報告されて、「そんなことじゃあ、仕事が思うように進まないじゃないか!」と、苛立っているのかもしれない。そういう社長の気持ちも解らないではないが、私は若いMに同情する。
 「怒鳴れば、言うことをきくと思ってるんだろうよ。気にするな。」と慰める。

 そのM、一昨年も一つ、現場監督をやっている。その時の彼に比べるとずいぶん逞しくなった。頼りになるBとTがいないので、自分で何とかせねばという気持ちが出てきたのだと思う。社長に対する愚痴は言うけれど、その数が格段に減った。愚痴を言うより先に仕事を進めなくちゃ、問題を解決しなくちゃあ、との思いであろう。
 役所や下請け業者との話し合いで問題が出てきて、頭の痛い思いをする。社長には怒鳴られる。「大丈夫か?十円禿げはできてないか?胃潰瘍にはなってないか?」と心配になる。だけど、この仕事を無事成し終えることができたら、Mはさらに大きくなるに違いない。これも修行だと思って、ここは一つ、踏ん張ってもらいたい。
          

 で、先週土曜日、Mを励ます意味も込めて飲み会をやった。Mが頼りにしていた元同僚のTにセッティングしてもらった。Mが頼りにしていたもう一人のB、Bよりも数年前にリストラされたKも参加。もちろん、現役同僚のSさんも参加。Sさんは穏やかで、黙々と仕事をこなす人。交渉ごとは苦手だが、腕の確かな職人。皆に愛されている。
  参加者はもう一人、数年前にアルバイトで現場仕事を手伝ってもらったOさん。Oさんは私やベテラン職人のSさんよりはいくつか若いが、親分肌で、貫禄があり、リーダーシップがある。アルバイトの立場でありながら、「飲みに行こうぜ。」とはたいてい彼から号令がかかり、概ね彼が日時、場所などのセッティングをした。
 Oさんは苦労人である。家庭の事情もあって定職に就けない期間が長かったようだ。Oさんはしかし、人望があり、顔が広い。一緒に飲みに行くとあちこちから彼は声を掛けられる。苦労を重ね、乗り越えてきた人の人望なんだと思う。
          

 若いMは、彼が慕っている元同僚のTやBを前に、その夜は当然ながら甘えた。日頃の鬱憤をぶちまけた。そして、月曜日からはまた、目の前の仕事を必死にこなしている。おそらく、その苦労は将来、人望ある人という成果を彼にもたらすはず。頑張ってね。

 記:2008.11.22 島乃ガジ丸


環境対策型都市

2009年10月09日 | 通信-環境・自然

 「核兵器の無い世界を目指す。」、何と耳に心地良い言葉だろう。国連決議だったか、安保理の決議だったかで、先日、決議されたらしい。
 核兵器だけで無く、大量殺戮兵器が、ついでに少量殺戮兵器も一緒にこの世から消え失せれば、世界から戦争が無くなるに違いない。私は若い頃から流行の唄をあまり聴かないので、ジョンレノンの唄もよく知らないのだが、確かイマージンって唄もそういう内容だったのではなかったか。争いの無い世界を想像する、・・・何と甘い夢。

  それから数日後に、中国の軍事パレードの模様がテレビのニュースで流れた。甘い夢を見ていた私は、夢はやはり甘かったかと、ハーっと溜息をつく。
 もしもだ、軍事費が必要無いとなったなら、その半分を衣食住といった生活に関わるものの生産に使う。そうすれば、国民の生活はずっと豊かになるだろう。もしもだ、軍事費の残り半分をソーラーパネルやら風力発電に使ったなら、10年後の中国はエコで豊かな生活を実現するだろう。「石油?俺達は少しでいいよ。」となるかもしれない。豊かな中国は鷹揚になって、「チベット?ウイグル?台湾?独立していいんじゃないの、必要なら援助もするよ。その代わり仲良くしてね。」となるかもしれない。

 「普天間基地の県外移転」、何と耳に心地良い言葉だろう。羽登山総理の発言だ。基地が無くなると困る、という人も多いだろうが、基地の去った普天間の、その広大な土地に民間が生産活動を行うことによって、軍用地料など軍関係で得る収入をはるかに凌ぐ収入を得たならば、困る人たちも困らないに違いない。
 基地の跡地利用については既に宜野湾市などで計画されているかもしれないが、私個人のイマージンだけでも夢は広がる。新しい都市、普天間新都心と仮に名付ける。
          

  普天間新都心は環境対策型都市となる。建物は公共も民間も企業も個人もソーラーパネルが義務付けられる。都市内はソーラーパネルを利用した路面電車が走る。個人も企業もガソリン車は使わない。それから、最も私が主張したいのは、コンクリートとアスファルトが占める面積を半分以下に抑えることを義務付けたいということ。半分以上は土と緑と水(池とか川とか)にしたい。そして、土の多くは農地。
 都市には農地が無ければならない。これも義務付ける。農業は厳しい仕事だ。重労働の上に、台風や旱魃などで作物ができるかどうかの保障も無い。なので、国、または県は農業従事者を援助しなければならない。国民の命の糧を生産するのだ、国が援助するのは道理に適う。保護政策だと他国から文句言われる筋合いは無い。

 想像してみよう、路面電車の走る緑の多い街、里山があり、チョウやトンボが多く飛び交う街、カエルの声や虫の声が聞こえる街、すぐ近くに畑のある街、そして、その畑から採れたばかりの野菜がスーパーに並んでいる街。
 アスファルトとコンクリートが少ないのでヒートアイランド現象も少ない。緑の中を涼しげな風が吹きぬける街だ。20年後、そんな街ができているかもしれない。爺さんとなった私は、その街を散歩しているかもしれない。生きていればの話だが。
          

 記:2009.10.9 島乃ガジ丸