ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

お客様は人間です

2006年01月20日 | 通信-その他・雑感

 私が日常の買い物をするスーパーは4店ある。家から徒歩5分のAスーパー、徒歩10分のBスーパー、徒歩15分のCスーパー、徒歩20分のDスーパーである。Bスーパーは職場からの帰り道にあるので、平日の夕方に主に利用する。Cスーパーは休肝日明けの木曜日に酒の肴を買いに行っている。AスーパーとDスーパーは週末に利用している。4店ともそれぞれ週1回ずつくらいの利用頻度となっている。
 AスーパーとBスーパーは沖縄資本、つまり、地元のスーパーで古くからウチナーンチュに親しまれているチェーン店。沖縄に多くの店舗を持っている。近所のAとBはそれぞれのチェーン店の中でも規模の小さい方で、いかにも庶民の店といった感じ。もう10年以上の馴染みであるし、店が小さいので、そこで「○○はどこにありますか?」なんて訊くことはないのであるが、もしも、訊いたとしたら、その商品のあるコーナーの近くまでは案内してくれるであろう。レジ係りの人も多くが気さくな感じの人たちである。
 Cスーパーは本土(倭国のこと)の大手スーパーと業務提携しており、店の規模も大きく、品揃えが豊富。私好みの酒の肴も多く置いてある。レジ係りの言葉使いも丁寧で、服装もきちっとしている。そこで「○○はどこにありますか?」と訊けば、その商品の置いてある場所まで案内してくれる。
 Dスーパーは全国チェーンの店。社員教育が徹底しているようで、言葉も身なりもきちっとしているのはCスーパーより勝る。さらに、「○○はどこにありますか?」と訊けば、その商品の置いてある場所まで案内するのは当たり前で、何かを探してウロウロしていると、係りの人が近付いてきて、「何かお探しですか?」と訊いてもくれる。
 DやCは、まあ、丁寧過ぎるとしても、AやBのような接客でも私は気分が良い。親切にしてもらっているという印象を受ける。今では少なくなったが、昔は、今のスーパーマーケットのように食料品から日用雑貨を置いてある店は、マチヤグヮーと呼ばれる店が多かった。ウチナーンチュは、日用の買い物はマチヤグヮーで済ませていた。マチヤグヮーで「○○はどこにありますか?」と訊くと、そこの主は商品のある場所まで案内してくれたりはしない。その近くまでも行ってくれない。「あの辺」と顎で指すだけである。ウチナーンチュにとってはそれが普通。買う方も売る方も同じ人間という立場、言葉使いも概ねフレンドリー、「ありがとうねー」なんてこともあまり聞かなかったように思う。
 アメリカのレストランで食事をしたりすると、店員を呼ぶ時、ウエイトレスならマームと言い、ウエイターならサーと言ったように覚えている。私は英語が得意では無いので、その辺、正確ではないかもしれないが、少なくとも日本のように「よー、姉ちゃん」などと呼んだりはしない。サービスする方もサービスを受ける方も同じ人間ということなのであろう。サービスとその代金は等価交換であって、そこに上下は無いのであろう。
 お客様は神様といって、神様のように扱うのも、また、扱われるのも私はあまり好みでは無い。前記のAやBくらいの接客が私にとっては良い加減である、と思っていたのであるが、先日、母に持たせる携帯電話の契約申し込みに行ったら、そこの店員が、まあ、何とも丁寧で、優しくて、親切で、おまけに若くて美人であった。あんまり丁寧に接してくれるので、この女、俺に気があるのでは無いかと勘違いしてしまい、それから数日間、私はすごく気分が良いのである。神様扱いも悪くは無いな、と思ったのであった。

 記:2006.1.20 ガジ丸