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Discover the 「風雅のブリキ缶」 written by tonkyu

科学と文芸を融合した仮説作品「風雅のブリキ缶」姉妹篇。街で撮った写真と俳句の取り合わせ。やさしい作品サンプルも追加。

東京国立博物館 展示物メモ10 マゴノテとなった仙女図

2007年01月14日 15時15分53秒 | Journal
 仙人はいるが、「仙女」というのは聞いたことも見たこともない。その聞いたことも見たこともないものを描いたから図なのであろう。室町時代(16世紀)、良祐という人が描いた。ただ、下記のWikipediaによれば、仙人は老人の男性と考えるのは大いに間違いらしい。背中が痒いときのマゴノテが、孫の手でなくて、後漢の蔡経が「鳥の爪に似て爪が長いとされる麻姑仙人(まこせんにん、仙女)の手で痒いところを掻いてもらったらさぞ快適であろう」と考えたことに由来したとは、まったく知らなかった。普通、そんなの知らないよ。
 写真の仙女は、老木を担ぎ、瓢箪をぶらさげているところは通常の仙人風だが、縮れ気味ながら黒々と髪が多く、多分30歳代の若さ。仙人にしては若輩だ。煮炊きの小鍋らしいのを袋に入れているのも、おかしい。半年ぐらい前だったか、車で移動するホームレスの女性をドキュメントしたテレビ番組があったが、あの女性を思い出した。考えてみれば、仙人とは天上のホームレスにほかならない。

 Wikipediaを調べると、仙人(せんにん)は、中国の道教で、主に高い山の上や仙島、天上など仙郷にて暮らし、仙術をあやつり、不老不死を得た人を指す。羽人ともいう。(中国の)東海に蓬莱、方丈、瀛洲の三つの仙人の島(三島)があるともいう。仙人がいる、あるいはそこにいけば仙人同様になれる聖地を故事になぞらえ桃源郷と呼ぶこともある(桃花源記)。「封神演義」などにも登場する。ヨーロッパの隠者に類似する。
 仙人は基本的に不老不死だが、自分の死後死体を尸解(しかい)して肉体を消滅させ仙人になる方法がある。これを尸解仙という。羽化昇天(衆人のなか昇天することを白日昇天という)して仙人になる天仙、地仙などがあるが位は尸解仙が一番下である。西遊記において孫悟空は「妖仙」などと蔑称されている。神仙、真人もほぼ同義だが、用いられ方にニュアンスの違いがある。仙人になるために修行をする者は「道士」(羽士)「方士」と呼ばれる。後世専ら、道士は道教修行者一般をさした。方士である徐福は秦の始皇帝の命を受けて東海の仙島に仙薬を求めて出航した。徐福は日本に逢着したともいわれ、日本各地に徐福伝説が残る。中国の名軍師太公望や諸葛亮なども仙術を修得していたと付会された。
 修行方法には呼吸法や歩行法、食事の選び方、住居の定め方、房中術までさまざまな方法がある。いずれにせよ心身の清浄を保ち気としての「精」を漏らすことは禁物であり、「精」を練り気、神に変え仙人となるための仙丹にまで練らなければならない。また派によっては呪符や呪文を用いることもあった。
 一般には男性は老人の姿イメージされていることが多いが、西王母、麻姑仙人(仙女)などの女性も多い。因みに「マゴノテ」とは、痒い時、爪の長いとされる麻姑仙人の手で掻いてもらったら快適であろう、ということからつけられた名称である(孫の手、ではない)。
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