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科学と文芸を融合した仮説作品「風雅のブリキ缶」姉妹篇。街で撮った写真と俳句の取り合わせ。やさしい作品サンプルも追加。

原節子主演の『秋日和』を観る

2015年12月09日 15時45分05秒 | Journal
 先日亡くなった原節子主演の小津安二郎監督作『秋日和』(1960年)をテレビで観た。原節子は、この作品から2、3年後には引退するから女優としては晩年の作ということになる。中学生ぐらいのとき、やはりテレビで観た記憶があるが、なんともテンポがゆっくりだし、所詮、サラリーマン社会の縁談話では中学生が興味を持てる内容ではないので、途中で見るのを止めてしまった。今は、そのテンポのゆっくりが、場面場面の印象を固定してくれて良いような気がした。それから、原節子は、ピカソの絵にあるようなくっきりと力強い輪郭の容貌で(その意味で日本人離れしている)、こういう人は、力に衰えが出ると、太めの輪郭が耀きを失い、印象が怖くなって、自分でも続けていけなくなるのではないか、と思った。原節子の引退については、「亡くなった小津に殉じた」といった話もあるが、むしろ、この作品にも出演しておきゃんな娘役を好演した岡田茉莉子が当時語った原節子自身の説明「畳の上での芝居がしづらくなったから」が当たっているのではないか。その意味で、原節子は自分を知り引きぎわを心得ていた優れた女優だったのだと思う。それと、子供の頃は、なんとも苦手な大人の男の一人だった佐分利信も、今となって見ると渋く、味がある俳優に思えた。どことなく、ウィリアム・ホールデンと共通する。









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