念のために「明日の神話」で小生が気に入った帆掛け舟が壁画のどこに描かれているか特定できる先と逆方向から撮った写真を載せておこう。多分、これを撮ったとき、その必要を感じたから撮ったのだと思う。天の凄まじい原爆炸裂の状況を確認すれば、小生が感じた太平楽な海の小舟のいじらしさが分かっていただけよう。ただ、小生がこの壁画を実際に美術館で見たとき、解説を読むのも面倒で原爆の画と認識していなかったのである。むしろ、画を見るとき、そうしたズボラで漫然と見るのがいいのではないか。
「明日の神話」は縦5.5メートル、横30メートルの馬鹿でかい大作。しかし、小生が一番気に入ったのはこの海に浮かんだ帆掛け舟。多分、太郎さん自身も、この帆をたたんで蒸気をポッポと煙突から吐き出して海面を懸命に走る小舟を可愛らしく思って描いたのだと、小生は推察する。
昨年の師走、台湾に行く前に木場に仕事があり、ついでに東京都現代美術館に寄った折、岡本太郎の大きな壁画を見たことを今日、夜のニュースを見るまで忘れていた。あれは岡本がメキシコで原爆炸裂の瞬間を制作した「明日の神話」という名の壁画だったのだとか。その壁画が渋谷駅そばの「渋谷マークシティ」内で公開されるという。とてもいいことだな。なんとなく通りがかりに見かけて誰の作とも知らず「ああ」とか思うのが、美術館で意図的に鑑賞するよりましなことは間違いない。