折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

写真&俳句VOL79~受難の季節

2012-07-18 | 写真&俳句
散歩から帰って来て、玄関に入った途端、横になって長い舌を出し、荒い呼吸を繰り返す愛犬パール。




老犬の     ふいごの息や     夏は来ぬ



梅雨明け宣言が出た途端、群馬県館林市で39度2分の猛暑日を記録するなど、早くも夏本番モードである。

発汗による体温調節ができない犬。
汗をかく代わりに、だらりと舌を出して、「ハアハア」と激しく呼吸することで、唾液を蒸発させて熱を体の外に放出する。

人間が「ちょっと暑いかな」と感じている時、犬は「死ぬほど暑いよ!」と喘いでいるとのこと。

犬にとって夏は、まさに「受難の季節」「魔の季節」の到来である。

散歩の途中、しばしば立ち止まって長い舌を出して一呼吸入れるパール。


この負担を少しでも軽くしてやろうと朝、夕の散歩も、朝は暑くなる前の5時頃に、夕方は日差しが和らぐ6時半過ぎに連れて行っているが、それでも何せ今年12歳になる老犬にとっては、寄る年波と言うべきか、すこし歩くともう吐く息があらくなり、家に辿りついて玄関に入るやいなや「たたき」に横になって、ハア、ハアと長い舌を出して「あえぎ呼吸」がしばらく止まない。

愛犬パールにとって「試練の季節」は、始まったばかりで、まだまだ続く。


写真&俳句VOL78~汗まみれ

2012-07-16 | 写真&俳句
講師から指導を受ける居合道六、七段の先生方。(7月15日 鴻巣市市民体育館アリーナ)


ひたすらに     汗にまみれて     夏稽古


居合道の講習会に参加して来た。

朝からじりじりと太陽が照りつける真夏日、しかし、この日は居合道範士河口俊彦先生から直接教えを受けられると言うので、会場には県下の居合の士164名が参集し、熱気にあふれていた。


熱心に指導される講師の居合道範士河口俊彦先生


午前10時から午後4時までの講習であったが、この時間帯会場の市民体育館アリーナは蒸し風呂状態、拭けども拭けども汗が噴き出して来て、それこそ「汗にまみれて」の夏稽古。

この日参加した人たちの中には小生をはじめ、高齢者も多く、熱中症が心配されたが、皆、講習に集中して、体調不良者が一人も出なかったのは、さすがであった。

写真&俳句VOL77~匂い立つ

2012-07-14 | 写真&俳句


匂い立つ     我が庭先の     むくげかな


「猫の額」ほどの我が家の庭の片隅にむくげが何本か植えられている。

いつもは余り咲き映えが良くないのだが、今年は見事な咲き振りで今が丁度見頃、その白い楚々とした佇まいは、まさに匂うが如くで梅雨時の鬱陶しい気分を和ませてくれている。


写真&俳句VOL76~露の命

2012-07-11 | 写真&俳句
大きな里芋の葉の先端で、今にも転げ落ちそうに見えるが、絶妙なバランスを保って葉に踏みとどまっている露の玉。



束の間の     命宿すや      朝の露


今朝の散歩でのこと。

梅雨の中休みで今日も暑くなるとの天気予報。

暑くなる前にと朝5時に愛犬のパールと散歩に出かける。

この時刻だとまだ大気は熱を帯びていず、頬をなでる微風が実に気持ち良い。

いつものように、いつもの道を黒目川遊歩道目指して歩いて行くと、道端に「里芋」の畑があり、大きな葉が林立している。

しばし立ち止まって、その葉を眺めていると、今にも転げ落ちそうに見えるが、絶妙なバランスを保って葉の先端に踏みとどまっている露の玉を見つけた。

陽が高くなり、気温が上昇すれば跡かたもなく消え去ってしまうだろう露の玉。

今、必死に葉の先端にとどまろうとしているその佇まいは、あたかも束の間の命を宿しているように見えて、何とも愛おしく思えた次第である。

こんなシーンに出会えたのも、朝早く起きた功徳なのかもしれない

ある感慨~「蝉しぐれ」再放送を見て

2012-07-08 | 雑感
NHKBS3で7月5日から7日まで3夜にわたって「蝉しぐれ」の再放送があった。

この「蝉しぐれ」のテレビ放映には、一つの思い出がある。

かれこれ10年ほど前、実家に行った時たまたまテレビのことに話が及んだ。

「亡くなったオヤジさんは、テレビを見ていてもほとんど居眠りしてたけど、おばあちゃんはドラマをそれはそれは熱心に見てるよ。歳の割には、その集中力たるや凄いもんだよ(この時、老母は86歳)」と長兄。

すると

「見たいテレビドラマはいっぱいあるけど、みんな夜9時過ぎだから見たくても見られないんだよ」と老母。

「わかった、おばあちゃん、見たいドラマビデオに撮って送ってあげるよ」と小生。

それから数年間、老母の好みそうなドラマを録画して、せっせと送り届けた。

ビデオの本数にすると優に100本は超えていたかもしれない。

その中で、老母が最も好んで、繰り返し見たと言うのが「蝉しぐれ」であった。(因みに、老母に聞いたところ、送ったビデオのベスト3は、第1位「蝉しぐれ」、第2位「大地の子」第3位「砂の器」(映画)であった。)

新しいビデオを持参する度に「蝉しぐれ」は良かったよ、涙が止まらなかったよ、と繰り返す老母。

小生も「蝉しぐれ」には大いに感銘を受けていたので、その時は「親子で嗜好のベクトルが合っているんだ」と
妙に嬉しさがこみ上げてきたのを今も覚えている。

老母に送ったそのビデオテープだが、このところ実家に行くたびに、まとめて引き取って持って帰っている。

テレビを新しくした際、ビデオデッキも処分したので、もうビデオは見られないからと長兄。

先日も20本ほど持ち帰って来た。

どんな作品だったかもう忘れてしまったので、持って帰るたびに一応題名をチェックしている。

今までチェックした中には、あの「蝉しぐれ」はなかった。

愛着があって、未だ老母が手元に取っておいてあるのか、偶然、戻す順番が遅いだけで、こちらが考えるほど深い意味はないのか、小生としてはできれば前者であって欲しいと願っているのだが・・・・。

約9年ぶりに「蝉しぐれ」を見て、そんな感慨をいだいた次第である。