折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

ある感慨~「蝉しぐれ」再放送を見て

2012-07-08 | 雑感
NHKBS3で7月5日から7日まで3夜にわたって「蝉しぐれ」の再放送があった。

この「蝉しぐれ」のテレビ放映には、一つの思い出がある。

かれこれ10年ほど前、実家に行った時たまたまテレビのことに話が及んだ。

「亡くなったオヤジさんは、テレビを見ていてもほとんど居眠りしてたけど、おばあちゃんはドラマをそれはそれは熱心に見てるよ。歳の割には、その集中力たるや凄いもんだよ(この時、老母は86歳)」と長兄。

すると

「見たいテレビドラマはいっぱいあるけど、みんな夜9時過ぎだから見たくても見られないんだよ」と老母。

「わかった、おばあちゃん、見たいドラマビデオに撮って送ってあげるよ」と小生。

それから数年間、老母の好みそうなドラマを録画して、せっせと送り届けた。

ビデオの本数にすると優に100本は超えていたかもしれない。

その中で、老母が最も好んで、繰り返し見たと言うのが「蝉しぐれ」であった。(因みに、老母に聞いたところ、送ったビデオのベスト3は、第1位「蝉しぐれ」、第2位「大地の子」第3位「砂の器」(映画)であった。)

新しいビデオを持参する度に「蝉しぐれ」は良かったよ、涙が止まらなかったよ、と繰り返す老母。

小生も「蝉しぐれ」には大いに感銘を受けていたので、その時は「親子で嗜好のベクトルが合っているんだ」と
妙に嬉しさがこみ上げてきたのを今も覚えている。

老母に送ったそのビデオテープだが、このところ実家に行くたびに、まとめて引き取って持って帰っている。

テレビを新しくした際、ビデオデッキも処分したので、もうビデオは見られないからと長兄。

先日も20本ほど持ち帰って来た。

どんな作品だったかもう忘れてしまったので、持って帰るたびに一応題名をチェックしている。

今までチェックした中には、あの「蝉しぐれ」はなかった。

愛着があって、未だ老母が手元に取っておいてあるのか、偶然、戻す順番が遅いだけで、こちらが考えるほど深い意味はないのか、小生としてはできれば前者であって欲しいと願っているのだが・・・・。

約9年ぶりに「蝉しぐれ」を見て、そんな感慨をいだいた次第である。