折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

写真が主役VOL38~『雪化粧』した武甲山

2010-03-12 | 写真が主役シリーズ

武甲山(標高1304m)
武甲山は、秩父の人びとの暮らしと産業に深くかかわってきた地元のシンボル的な山である。
山の北側斜面が石灰岩質であるために古くから漆喰などの原料として採掘されていた。 明治期よりセメントの原料として採掘が進められ、1940年(昭和15年)に秩父石灰工業が操業を開始して以降、山姿が変貌するほど大規模な採掘が進められ、とくに北斜面で山体の崩壊が著しい。



幼なじみたちとの『山歩き』、3月の例会は『三峰山』に決まっていたが、運悪く数日前の降雪で、急遽『奥武蔵丸山』(標高960m)に変更、昨日、Kくん、Mくん、Hちゃん、そして小生のいつものメンバーで行って来た。

秩父地方も9日に降雪、翌日の新聞は16センチの積雪を記録したと報じていたが、実際には奥武蔵丸山への登り口である芦ヶ久保周辺は、そんな半端なものではなく、あたり一面白銀の世界であった。(実は、目的地周辺は40㎝もの積雪で、悪戦苦闘したのだが、これについては明日のブログに掲載予定)

しかし、道路は除雪が行き届いていて、一般道を歩く限り特に支障はない。

この日は、久しぶりに朝から空は晴れ渡り、陽光が燦燦と降り注ぎ、まさに絶好の山歩き日和となった。

除雪された道をしばらく歩くと雪をかぶった武甲山が眼前に見えて来た。

見なれた荒れ果てた山肌のイメージと全く違い、純白な雪をいただいた武甲山は美しく輝き、その威容にすっかり魅入られたのであった。


武甲山は、Kくんが青春時代に好んで登った思い出多き山である。

彼と秩父の山々を歩き始めてすぐに、この山がみじめな山肌をさらすことになったいきさつと、山の変容を嘆き悲しむ彼の言葉をよく聞かされたものだ。

彼の言をまつまでもなく、国の近代化のためとは言え、山の形が変わるほどに採掘され、みじめな山肌をさらしている山の姿は実に痛々しく、心が痛む。

しかし、この日ばかりは、いつもは露出している山肌を雪が白いベールで包み込んで、神々しいばかりに美しさである。

季節外れの雪に覆われ、荘厳なまでのたたずまいをただよわす武甲山が、今回の主役である。