折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

『リマスター談義』、リマスター盤は本当に音がいいの?~臨時オーディオ談笑会②

2010-11-11 | オーディオ談笑会
前回の臨時オーディオ談笑会の続編である。

当日は、『中島みゆき』VS『タンノイオートグラフ』が最大の目的であったが、その他にも、Mさんが行きつけのタワーレコード新宿店で購入したCDを聴きたいと言うリクエストが事前に出されていた。

そのCDとは、オットー・クレンペラーが1965年にバイエルン放送交響楽団を指揮したベートーベンの交響曲第4番と第5番「運命」と1968年に同じくバイエルン放送交響楽団を指揮したメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」とシューベルトの交響曲第8番「未完成」。2枚ともライブ盤である。

Mさんによると、クレンペラーの没後25年を記念して遺族の許可を得て1998年に発売されたものを、今回200枚限定で復刻したもので、復刻に当たり『ハイサンプリング・レコーディングシステム』という方式でリマスターした結果、音が素晴らしく良かったので、是非タンノイで聴いて見たいということであった。

実は、小生、1998年盤を持っていて、その音が素晴らしいことは勿論知っていたので、新方式によるリマスターによって、その音がどれほど向上しているのか非常に関心があった。そこで、Mさんがリマスターした復刻盤を、小生が1998年の旧盤をそれぞれ持参して、音の違いを確かめてみようと言うことになったのである。


    
200枚限定で復刻したオットー・クレンペラー指揮バイエルン放送交響楽団によるベートーヴェン交響曲第4番、第5番「運命」のジャケット


当日は、中島みゆきの歌を堪能してもなお時間的余裕があったので、臨時談笑会の第2部としてリマスター盤と旧盤の聴き比べが実現した。

曲はベートーヴェン交響曲第5番『運命』の第1楽章。

指揮:オットー・クレンペラー
演奏:バイエルン放送交響楽団
演奏日:1965年5月ライブ演奏収録


当初は、リマスター盤を中心に聴くと言うことで、

①最初に旧盤で冒頭の部分を数分間聴いた後で、

②リマスター盤で第1楽章を聴く、という段取りにしていたのだが、リマスター盤をすでに聴いているMさんが①を聴いて、『これは、ほとんど、差がないんじゃない』という声を上げたので、改めて

③旧盤についても第1楽章の全部を聴いた。

旧盤を何回も聴いている小生、②を聴いて、旧盤とリマスター盤の違いはないと感じた。

むしろ③を聴いて、『ひょっとすると、旧盤の方がいいかも』と思った。そして、リマスター盤が良いと断じる者は、一人もなく、『ほとんど差異がない』という意見が大勢であった。


小生、旧盤とリマスター盤の違いについては今回のCDだけでなく、他のCDでもこれまで何回も聴き比べをしているが、リマスター盤が明らかに良かったという経験は、余りない。むしろ、どちらかと言うと、リマスター盤の方が音は奇麗だが、その分、音が薄く、音の密度、広がりででは旧盤の方が良かったと言うのが、これまでの通例であった。

確かに、データ上はリマスター盤はすぐれているのだろうが、それが、すべて再生される音に反映しているかと言えば、そう言い切れない部分もあるのではないだろうか。


リマスターと言う『うたい文句』に過大な期待を抱き過ぎていないか、と反省しているのだが、『歴史的名盤が、新方式でリマスターされ、装いも新たに登場しました』と言うキャッチコピーがついたCDが店頭に並べられていると、こりもせず、ついつい手を出してしまう小生である。