折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

『絶対あきらめぬ』気持ち~日本シリーズ第4戦を見て

2010-11-04 | 雑感

日本シリーズ第4戦中日の劇的勝利を伝える今朝の新聞(朝日新聞)


昨夜の日本シリーズ第4戦を見た。

延長10回無死二、三塁という中日絶体絶命のピンチには、諦めの早い小生は、『これはもういかん』と中日の負けを覚悟したのだが、結果的にはこのピンチをチーム一丸となってしのぎ、11回大島が決勝の三塁打を放って劇的勝利をものにした瞬間は、飛び上がって喜んだ。

そして、昨夜の中日ナインの『あきらめない』執念と、今読み返している池波正太郎の『真田太平記』(新潮社刊)の次の文章がオーバーラップした次第である(たまたま、昨日の午前中にこの個所を読んだばかりだったので、その偶然に驚いたのだが・・・・。)ちょっと、長くなるがその個所を引用させて頂く。

『危難に遭遇したときは、まず、笑うて見よ』
と横沢与七は佐助に教えた。
数人の敵の刃や槍に囲まれ、
(もう、これまで・・・・・)
死ぬ覚悟をさだめたとき、与七は、
『まず、笑うてみよ』
というのである。
笑えるものではないが、ともかく、むりにも笑って見る。
すると、その笑いが、おもわぬ力をよび起してくれる。
むりに笑った笑いが、
『なんの。ここで斃れてなるものか』
という不敵な笑いに変わってくる。
ともかくも、まず、些細な動作を肉体に起こしてみて、そのことによって、わが精神(こころ)を操作せよというのだ。
(もうだめだ・・・・)
とか、
(これで終わりだ)
とかの、絶望と悲嘆の情緒へ落ち込む前に、まず笑って見る。すると、その笑ったという行為は、ふしぎに人間のこころに反応してくるものなのだ。また、それでなくてはならぬと、横沢与七はいった。
そして、このことを佐助に体得させるために、あらゆる技法を用いて、修練を積ませてきたのであった。(池波正太郎著「真田太平記」第五巻「秀頼誕生」新潮社刊)



これまでの3戦、期待に反して『凡戦』が続き、盛り上がりを欠いていた日本シリーズも昨夜の第4戦に至って初めてドラマチックな展開が見られて、ようやくにしてこれぞ日本一を争うにふさわしい内容となってきた。
この戦いを境に、これからヒートアップしていくのではないだろうか。

特に、中日ファンの小生にとって昨夜の1勝は、ひょっとすると今シリーズの命運を左右する大きな1勝になる予感がする。

『耐えに耐え』、『しのぎにしのいで』勝利を手繰り寄せた中日の選手のみなさんの『絶対諦めない』不屈の精神力に勇気をもらった気がする。

それにしても、落合さん、あんな下手くそな采配は、この試合だけに願いたいですね。