折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

大いに期待したのだが・・・・・~映画『13人の刺客』

2010-10-20 | 映画・テレビ
4人兄弟で見た映画『13人の刺客』についての感想。


将軍の弟という地位をかさに、残虐の限りを尽くす暴君・松平斉韶(稲垣吾郎)。その非道を見かねた老中の命を受けた島田新左衛門(役所広司)ら13人の男たちが、、参勤交代で国元に帰る機会をとらえ、斉韶を討つべく要塞化した宿場町でさまざまな大仕掛けの『罠』を仕掛けて、300人の敵に決死の戦いを挑む、というのが、本作のおおまかなストーリーである。


 
映画『13人の刺客』のシーン


とにかく、この仕掛けが『あっと』驚くほど、多種、多様で、これを『凄い』と見るか、『やり過ぎ』と見るかで、映画に対する評価が違って来るのではないだろうか。

この仕掛けには、1963年に作られた同名の映画を意識せざるを得なかった点があるのだろう。

即ち、1963年版でのクライマックスの襲撃シーンは、『13人対53人』の戦いだったのだが、その戦力差を本映画では一挙に『13人対300人』に拡大したのだから、人為的な仕掛けなしには到底太刀打ちできない設定にあえてしたのだ。

13人対53人であれば、多勢に無勢ではあるが、生身の人間同士の戦いとしてのリアリティを出すことは十分に可能だろうが、13人対300人となるといくらさまざまな仕掛けを用意したとしても、リアリティどころでなく、何か絵空事の世界を見ているようである。

まして、主人公の島田新左衛門と敵役の参謀である鬼頭半兵衛は、かっては剣の同門同士で、お互いの手の内を知り尽くしている間柄であり、物語の進行を見ればわかるとおり、この戦いは二人の頭脳戦、神経戦なのである。だから、あのような大規模な『罠』を切れ者の半兵衛が見逃すはずがないことは、見ている者なら誰でもわかることなのだが・・・。

エンターテイメント性を際立たせるため、あえてストーリーの粗さに目をつぶったのだろう。

そう思って、見ているとあの50分にわたる戦闘シーンも、何となく白けた気分になってしまった。

そして、1963年版の同じシーンをぜひ見て見たいと思った次第である。


往々にして、前評判の高いものほど、その期待を裏切られることがある。

『13人の刺客』も実は大いに期待し、公開と同時に見に行きたいと思っていたほど、見たかった映画だったが、期待が高かっただけに見終わって、ちょっとがっかりした。