折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

「リーディングカンパニー」の「社会的責任」

2008-12-26 | 日常生活
時は平成20年。
物語の舞台は、全世界。

アメリカの「サブプライムローン」問題に端を発し、「燎原の火」のように燃え広がった大不況の波は、全世界に及び、今、それぞれが「生き残り」をかけた戦いを余儀なくされている。

この戦いは、多方面にわたる戦いであるが、ここは「雇用」に関する戦場。

誰もが総大将と認め、わが国を代表する「世界に冠たる」T社が何を思ったか、にわかに「総退却」の鉦を打つと、これを見て、わが国の経済団体の盟主たるC社がこれに追随、これを見た他社が「周章狼狽」雪崩を打って退却を始めたから、たまらない、終始のつかない大混乱となり、戦場には見捨てられ、置き去りにされた「派遣社員」、「期間労働者」の群れが取り残されてしまった。


最近の「派遣切り」の状況を見ていると、こんな「派遣切り残酷物語」のシナリオが思い浮かぶ。


それにしても、世界に冠たる、わが国を代表するリーディングカンパンニーのT社、C社が真っ先に「派遣切り」に走ったのには、「まさか」と衝撃を受けた。

そして、「これは大変なことになるぞ」と危惧していたら、案の定「派遣切り」の激震が走り、たちまちのうちに大きな「社会問題」と化してしまった。


今朝のニュースは、「雇用契約を更新されなかったり、契約途中で打ち切られたりする、いわゆる「派遣切り」などで職を失う非正規労働者が来年3月までの6カ月間で、実施予定も 含めて全国で8万5012人に達する」ことが厚生労働省の集計で分かったと伝えている。

そして、地域別に見ると、自動車など多くの製造業が拠点を置く愛知県が1万0509人と群を抜いているとも報じている。 


自分たちが引いた引き金の影響が、かくも甚大なる結果をもたらすとはT社、C社の首脳陣は想定していたのであろうか。


「派遣切り」がどうしても止むを得ないとの経営判断を下すのであれば、せめて辞めさせる人たちに半年や1年ぐらいの給与に相当する一時金を支給するぐらいの配慮があってしかるべきではなかったか。(内部留保は、このような「生きたお金」として使ってこそ価値があると思う。社会に納得してもらうための「必要経費」)

そういう「歯止め」を講じた上での決断であれば、後に続いた企業があんなに安易に「派遣切り」に走ることにはならなかったかもしれない。

その意味で、何の「歯止め」も打たず、今回の「派遣切り」に易々と「免罪符」を与え、「派遣切り」の流れを決定付けたのは、まぎれもなくわが国を代表するエクセレントカンパニーの2社であり、少なくともこの2社が「火付け役」とならなければ、これほど深刻な「社会的問題化」することはなかったのではないだろうか。

リーディングカンパニーは、このような「非常時」にこそ、真の「資質」、「力量」が試されるのである。

この点に関しては、両社とも「自己保身」に汲々として(サラリーマン社長の限界か)、リーディングカンパニーとしての「矜持」すら見られず、「社会的責任」の自覚が不足しているとしか思わざるをえないのは、はなはだ残念である。