子供の頃、養蚕が盛んだった時代、農家はお正月が過ぎた時分に繭玉を
飾った。部屋いっぱいに広がっていたのを懐かしく思い出す。我が家の
庭のミツマタがその繭玉飾りのような雰囲気で桜に先駆けて今年も咲く。
今のところ特に悪い所もなく穏やかな生活が続いていると思っている。
しかし年齢を考えれば何かある可能性は決して低くないだけに、検診は
定期的に受け、幾つかの診療科には長くかかっているなじみの先生を持
っている。昨日も泌尿器のDr.にPSA値の変化について相談に乗ってもら
った。前立腺ガンの可能性を示すといわれているPSAなる数値が以前か
ら高かったが、高値安定状態が引き続き維持されているので今回も様子
を見ましょうということになる。かっての職場が病院や福祉関係だった
ということは老境に入ってみるとしみじみ有難いものだと思う。
幾つか受けた検査結果が出るには少し時間がかかる。病院は桜の花に埋
まっていた。古巣の病院は診療内容に充実に負けず劣らず環境面に力を
入れている。この地に移った頃は周囲は全部水田で田植え時期ともなれ
ばカエルの声に包まれた。当時の植栽が30年の年月を経過して周囲は
ちょっとした森になり、四季それぞれの色彩で病院を取り囲む。たくさ
んのケヤキの樹も一斉に芽吹き始め、更に季節が進めば溢れるような新
緑ときれいに刈り込まれたサツキの群落やミヤマキリシマの古木が鮮や
かな赤の花でアクセントをつける。もうちょっとした公園だ。
ついでに満開の桜を愛でに各所を回る。
市中心部、城跡の土塁に包帯を巻かれた桜の古木が寂しくはなったが花
をつける。第14師団歩兵15連隊があった頃にも咲いていたというか
ら100年の歳月市民に楽しみを提供している。いまだに花をつけるが
さすがに往年のものではない。世代交代のための若木が植えられていた。
古木の風格と若木のけなげなさが妙にマッチしている。
烏川、碓氷川合流地点の桜、当地一番の見どころか。3.30撮影
以下この時期、満開の桜の写真は食傷気味なので避けての2枚。
前橋市敷島公園にて
前橋県庁北 幸の池付近の放水路にて
大相撲貴ノ花親方に一連の騒動の処分が下された。理事時代からみれば
末端の年寄に5段階降格という厳しい内容だった。暴行事件を身内の愛
弟子がおこしたことが余程こたえたのだろうか、屈辱的な処分を受け入
れ、あれほど批判した協会にこれまでの行動を陳謝し、ゼロからの出直
と記者会見で語った。
現役時代の成績そして祖父が横綱、父が人気の大関そして年子の兄も横
綱という血筋は他に例がない。大相撲の人気を支えたきたことに異論の
出ようがない功労者と思っていたので、この豹変には驚いた。相撲界に
巣くう根深い問題をさらけ出し、協会が全力を挙げて取り組まなければ
ファンに見放されると決意させたことは功績と言えると思う。
組織を考えれば親方の振舞に疑問も感じたり、時には求道的な親方らし
いとも見ていたが、彼が指摘したことは間違っていない。
25年も前の宮沢りえとの婚約発表、それを暫くして解消した件と今回
の一連の騒動、二つは全く別次元の事象だが、この思い切りの良さが彼
の真骨頂なのか?
まだ定年まで20年ある。これを機に人の意見にも耳を傾ける柔軟さを
持ちながらもしっかりと主張する親方になり、ファンを唸らせるような
ガチンコ勝負に徹する力士を育てることが、この騒動で地に落ちた評価
を回復する唯一の道か。
余りに突然の豹変だったので、一幕、二幕は閉じたが予期しない三幕が
まだあるような気もする。
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