大事件が起こるわけではない。富山の美しい風景のなかで、ドラマになるのかなという舞台。特殊撮影は必要でないし、ストーリーもありふれている。
それでも感動的である。悪者もいない。みんないい人なのに、それでも起こる、いきちがい。心理の動き。ラストがいい。そして、エンディングの音楽がいい。平日とあって、観客は、圧倒的にシニアが多い。若い恋人達にもいい映画だと思うが、そうもいかないか。
爆発的な人気がでなくとも、良心的な、本当にいい作品だと思う。三浦友和のキャラクターにピッタリで、好感のもてる演技である。
それにしても、余貴美子さんは、引っ張りだこの女優さんである。自分の意志を、きっちり出しながら、奮闘する看護師を演ずる。ただ、気になったのは、苦しむ患者を呼ぶときの、少し、間をのばして呼ぶあれは、類型的なニオイがする。あそこでの呼び方は、演ずる佐和子さんらしい呼び方をしてほしかった。
なんて、少しばかり、イチャモンをつけてみたが、全然本気ではない。そして、仁科さんとの同級生としての出会いは、ストーリーにふくらみが出て、上品でいながら、少しスリリングで、うまいもんだなと思った。
なんばパークスは、映画がおわると、もう日が暮れていた。クリスマス商戦の飾りつけが美しい。