中学時代の同級生Hから、南で店をやっている同じクラスのM子が、肺がんになって、店を閉めるという知らせがあり、常連の人々が中心になって、パーティを開くという。泰吉は、M子の店の何周年だかのパーティに一度参加したことがあり、そのときは、ちょっとした違和感があった。常連でもないのに、単なる同級生というポジションでは、なじめないところがあった。何度か彼女の店で、同窓会があったが、それは、会場提供ということで、客として、日頃、そのような店に行くことは、ほとんどない泰吉にとっては、なじみのない世界ではあったが、理由が深刻なだけに、ともかく参加することにした。同じクラスの、小学校時代からの友人Kにも、声をかけた。同窓会と、常連の人々とのドッキングであるが、といっても、中学同窓のメンバーは、7人位で、あとは、常連の人々とみられる。それでも、違和感のない、パーティであった。本人が医師に問いただし、余命140日と言われたという。頭は以前の髪型のままだが、カツラという。前にあったときと、あまり、変らないM子の様子は、とても、余命何日という感じではない。医師も患者本人からそんな風に、迫られたことはないと言っていたと、M子は、あっさりと言う。娘さんが一人、すでに結婚している。店の常連客は、スピーチで、自分が何故こんなに通いつめたのか、よく解らないといい、実際、淡交という感じで、この雰囲気も、変らない。もと従業員の、今はプロの歌手指導をしているという青年の司会で、パーティがはじまった。