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空をみながら

 地球規模、宇宙規模で考える。死角のない視野の獲得。憲法9条を守ろう。平和のための最高の武器だと思う。

空をみながら(13)

2007年10月07日 07時56分33秒 | 思考試行
 活動は、しないといっても、それは、本当の意味では正確ではないかもしれない。人の価値観を、どんどん変えるような、活動ぶりではないということで、事務的なことや、集会のとりまとめ、など、特に朋子は有能であったから、りっぱな戦力であった。考え方としては、一部の者が搾取によって成功と称したり、する者に対する反駁、戦争に反対すること、公平な組織運営、そういったことでは、泰吉と朋子は、意見に大きな食い違いがなく、二人とも調子者ではなく、控えめな方だったから、落ち着いた関係であり、高揚する幸福感とは無縁ではあったけれども、不満もなかった。朋子は貧困な時代が長く、給食費がはらえず、弟と二人して、泣いたこともあった。それが、生活の原点にあったから、浪費家ではありえなかったけれども、困っている人を助けようという気持ちが強く、泰吉はしばしば、その情の厚さに、舌をまく思いをしたものであった。そのことに対する出費を厭うことはなかった。それは、動物に対する気持ちにも向けられ、現れていた。

空をみながら(12)

2007年10月07日 00時56分12秒 | 思考試行
 結婚というのは、一種の賭けの要素がある。すべてが分析され、解った状態ではなく、弾みでとか、軽い感じの結婚もあり得る。泰吉の場合は、熱烈な恋愛結婚とは言いがたい。職場の同僚の夫人の友人を紹介され、何度かデートを重ねたのであるが、あるとき、彼女が先に着いていて、その待っている様子が、儚げで、痩せていたこともあったが、少し痛々しい雰囲気があり、それで、守ってやらねば、の感情がこみあげてきて、気持ちを固めたように思っている。気が合うというのか、思ったことを言えるというのも良かった。最初から、食事を残したりすることを、平気で批判して、朋子もすぐ、それに応えて、食事を残すことは、ほとんどなくなった。少なくとも平気でそうすることはしなくなった。本質的に、それほど熱心とはいえないが、二人とも活動していたし、それが、不十分であるとか、もっとやらねばとか、それほど真剣ではなかったから、ほとんど悩みもなかった。数ヶ月で、二人の間で婚約し、1年も経たずに結婚したのであった。