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空をみながら

 地球規模、宇宙規模で考える。死角のない視野の獲得。憲法9条を守ろう。平和のための最高の武器だと思う。

空をみながら(7)

2007年10月02日 07時35分41秒 | 思考試行
 結婚は、友人の紹介がきっかけであった。関東で勤務していた泰吉は、演劇鑑賞団体の役員をしたり、労働組合の役員などしていたが、いずれも主体的にというより誘われて始め、引き続きやっている、という具合であった。周囲も、誘った割には、本気でやっていると言う風でもない気運があった。泰吉は、そうしたいい加減な、雰囲気が嫌いではなかった。外から、何かとうるさく言うものもいないし、後発の活動家でありながら、いわば、のびのびとした、生活であった。大學の2部にも通うことができた。職場が、配慮する慣行があった。楽しみは、飲酒のみといっていいほどであり、女性との付き合いは、晩生といえた。小梨君は、気付かないやつだ、と職場の同僚にいわれたことがあった。気付かないわけではない、生理的な欲求があるにはあるが、それほど強くはなかったということだった。演劇鑑賞団体の活動で、よく、ペアになる女性がいたが、泰吉が、結婚観が解らないと、あるとき言ったことを受けて、彼女は、地域の、ある活動家と結婚した。恋愛感情は、相互になかったが、彼女は泰吉でもよかったという位の感じはもっていた。泰吉が、彼女の会費制の結婚式に参加したとき、スピーチで、結婚のいきさつに触れる者がいた。そのとき、新婦に、結婚観てなに、と聞かれた話がでた。そのとき泰吉は、はじめて、自分も当事者であったことを知った。