ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『トゥルー・グリット』(アカデミー賞特集第二夜)

2011-02-24 21:09:31 | 新作映画
※少し見どころにも触れてます。
ネタバレにもなりますので、先に映画をご覧になった方がいいかも。


(英題:True Grit)



----やっと、この映画のお話だね。
観たときは、気に入っていたようだけど、
喋るまで、ずいぶんとかかっていない?
『ウォール・ストリート』『ヒアアフター』のように、
もう、やんないままなのかと…。
「いや。アカデミー作品賞の有力候補。
さすがに、これをスルーするわけはいかない。
フォーンも知っていると思うけど、
これはジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞を受賞した
『勇気ある追跡』のリメイク。
実は、観る前に、
まずここがぼくのもっとも引っ掛かったところ。
大御所ジョン・ウェインと
今回、彼が演じた役をやるジェフ・ブリッジスとじゃ、
あまりにもキャラが違いすぎる…。
片や、アメリカがそうありたいと強く願っている“強い西部男”。
一方、こちらは、カウンター・カルチャー、
アメリカン・ニュー・シネマあがり。
歳月を経てからも
『ビッグ・リボウスキ』だの『クレイジー・ハート』だの、
落ちぶれた男というか、アメリカの影というか、
一言で言えば、しゃきっとはしない役が多かった。
でも、さすがだね。
観ているうちに、そんなことはどこかに吹き飛んで、
彼ならのアプローチでこの役を演じ切っていた」

----そういえば、ヒロインの少女を演じた
ヘイリー・スタンフェルドも話題になっているよね。
「うん。そうだね。
でも、その前に物語から。
この映画は一言で言えば、
父親を雇い人のトム・チェイニー(ジョシュ・ブローリン)に殺された少女マティ・ロスの復讐譚。
彼女は、大酒飲みのアイパッチをした連邦保安官ルースター・コグバーグ(ジェフ・ブリッジス)に彼の追跡を依頼。
そこに、別の容疑でチェイニーを追っていた
若きテキサス・レンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わること…
という、まあシンプルなお話だ。
3人それぞれの思惑が入り乱れながら、犯人を追っての旅。
言うまでもなく、映画は、ロードムービーの形を取る。
まだ年端もいかないマティ・ロス。
最初は、適当にやり過ごそうとするコグバーグが、
いかにして彼女に協力するようになるか?
その心の変容が映画を牽引していく」

----ニャるほど。
そこに西部劇ならではの見どころを入れているわけだね。
「そういうことだね。
たとえば、こんなシーンがある。
コグバーグとマティが小高いところから小屋を見張る。
と、そこに、ラビーフが現れる。
いったん小屋に入り、再び出てきたところに、
今度は敵の一味が!
この一部始終を、ふたりの視線だけで見せきる。
つまり、画としては大俯瞰。
迫力あるシーンなのに人間は豆粒のよう。
しかも、すべてワンショットの中に描かれ、
カメラの切り返しなどはまったくない。
でも、それがスリルを盛り上げるんだ。
ぼくらも、マティたちの視線になるからね。
そして、そして、ここが声を大にして言いたい、
最後の馬上の銃撃戦。
複数の敵を相手に、コグバーグが一人で立ち向かう」

----いくら彼が強くてもそれは無理なのでは?。
「いや。だからこれが西部劇。
ヒーロー伝説ってヤツだね。
ところが、この後、映画は急に現代的な視線を獲得するんだ。
すべてのカタがついた後、
コグバーグとマティが乗った馬が死体累々の平原を駆け抜けていく。
それを彼女の目線で見せるんだ。
こういう映像は、初めて見たね。
深くは明かせないけど、この後の廃馬を撃つシーンも含め、
マティは、復讐には代償がつきものだということを実感するわけだ。
ヘイリー・スタンフェルドの演技は、
ここの意味を十分に理解してのモノ。
そこが、役に深みをもたらしている。
ここで映画は
9.11以降のアメリカの傷にもしっかり触れているんだ。
そんな悲惨な地にもかかわらず、
空には無数の星がまたたいている。
美しい大自然の夜。
映画としての興奮も最高潮。
これぞリメイクのお手本」

----めちゃくちゃ誉めちぎってニャい。
「う~ん。ただね。
この後の、
後日談のシーンが惜しい。
成長したマティが登場するんだけど、
ここは、あの『殺し屋判事/ロイ・ビーン』のように、
ジャクリーン・ビセット並の大物女優を使って
伝説の人への憧憬のまなざしで締めくくってほしかったな」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「“トゥルー・グリット”とは“真の勇気”なのニャ」ぼくも観たい




※この映画をリメイクする意味は十分あった度

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