ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『武士の家計簿』

2010-10-11 23:36:57 | 新作映画
----今日のお話は…
あれあれ、また時代劇…。
「うん。でもこれは
いつもとは違ってチャンバラものじゃないんだ。
あの森田芳光監督が
実在の人物をモチーフに描く、
もうひとつの『わたし出すわ』

----ん?どういうこと?
「一言で言えば、
これもまた、現代の経済構造を問いかけるもの。
主人公の猪山直之(堺雅人)という人は、
世の中の秩序も価値観も大きく変わってゆく幕末にあって、
加賀藩・前田家で算用者(会計係)を務めた才人。
当時、藩の財政は厳しかった。
そんな中、直之の父・信之(中村雅俊)は江戸詰に。
二重生活にもかかわらず、藩からの十分な手当てはない。
しかたなく、猪山家は町人、親類、役所からも含め
16ヶ所から借り入れていた。
その利息は消費者金融並みの年利18%」

----あらら。
「当然に、
そんなことを繰り返していても、
いまの暮らしから脱することはできない。
さあ、直之はどうしたか…というのが、この映画の内容。
答を先に言っちゃうと、彼は売れる家財をすべて売り払っちゃうんだ。
で、家計簿をつけ始める」

----ニャるほど。それで『武士の家計簿』。
「そういうことだね。
この6月からだっけ。
借入金の総量規制が行われたけど、
それに歩調を合わせたかのような話だね。
ぼくが大学の頃とかは、
カードローンなんて言葉なかったような気がする。
さあ、当時みんなはどうしたか。
月末にお金がなければ、
インスタントラーメンだけですますとか、
人によっては質屋にモノを預けるとかだね。
ところが、いつしか銀行のカードを作ったら、
自動的に借り入れる機能まで付き始めた」

----つまり、その人に返せる見込みがあるかないか分からないのに、
借りられる仕組みができていたってことだよね。
「そう。
経済が右肩上がりのときは、
おそらくそれでもボーナスとかで
なんとかなるという風に
日本社会そのものも、そう考えたんだろうね。
ところがこの不景気で、そんな気楽にはいかなくなった」

----で、この映画はそういう考え方を改めるにピッタリってこと?
「そう。映画では傍目から見ると、
やりすぎじゃないかと思えるようなことまで出てくる。
日々の買い物はもちろんのこと、
冠婚葬祭や親せきへのお披露目とかでの
信じられないような倹約ぶりでね。
でも、それを一時の恥と割り切って乗り越える精神力、
そして子供への教育といった
家族ぐるみの助け合いが彼ら猪山家を浮上させてゆく。
この原作となった古文書は古本屋で偶然に見つけられたというけど、
まさか、160年も経って、
こんな形で紹介されるとは
直之という人、ゆめゆめ思わなかっただろうね」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「あまり映画にはなりそうにない話だニャ」
ぱっちり
仲間由紀恵、松坂慶子もいい度

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