ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『カイジ 人生逆転ゲーム』

2009-08-20 22:39:28 | 新作映画
「いやあ。こんな映画とは思わなかった。
怖いなんてもんじゃない。
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏……」

----あらら。また大げさな…?
これって、藤原竜也がギャンブラーに扮した映画でしょ?
「いやいや。
ぼくもそう思い込んでいたところ、
これがまあ、とんでもないお話。
毎日、自堕落な日々を送っていたフリーターの伊藤カイジ。
彼は友達の借金の連帯保証人になっていたことから、
ある日、遠藤(天海祐希)という
謎の女性にその返済を迫られる。
利子が何倍にも膨れ上がったその借金は
今のカイジにとても返せるものではない。
やむなく彼は、
一夜にしてそれを帳消しにできるというゲームに参加するため、
エスポワールなる謎の船に乗り込むことになる。
そこに現れたのが、この船を仕切る帝愛グループの利根川(香川照之)
「勝つことがすべて!勝たなきゃゴミ!
勝ちもせず生きていることこそ論外!!」と挑発する利根川。
かくして彼は、同じような借金を背負った男たちと
<限定ジャンケン>に挑むが…」

----へぇ~っ。SFチックじゃニャい。
「う~ん。確かに観方によればジョージ・オーウェルあたりが描いた世界、
たとえば『動物農場』のようなディストピアものだけど、
その生々しさは、より現実に酷似した感じがするんだね。
この後に出てくる超高層ビルの間の<鉄骨渡り>が怖いのは、
ぼくが高所恐怖症だから少し割り引くとしても、
地下の労働施設の描き方がまた目を覆いたくなるほど苛酷。
この映画は、もともとはコミックということらしいけど、
こんなのに日々接していれば、
若い人たちが『映画『蟹工船』の描き方が甘い』と言うのも分かる気がしてくる。
そう、その労働描写だけでなく、ここには
こんな地獄でも、さらに弱いところから搾取しようという
恐怖の構図が描かれるているんだ」。
その中心人物、班長・大槻を松尾スズキが好演していて、
これがまたリアル。
さて、そこでカイジが知り合うのが佐原。
この役を松山ケンイチが特別出演という形で
映画を引き締める」

----それって『デス・ノート』の組み合わせだニャ。
「そう。贅沢だよね。
そして圧巻なのが<Eカード>の勝負。
ここは、もう生きるか死ぬか。
藤原竜也と香川照之の必死の形相は観ていて身震いがしてくる」

----ふうん。でもどう見ても後味のよさそうな話じゃニャいニャあ。
「そうなんだ。
最初の限定ジャンケンのシーンに山本太郎が出ていることもあって、
ちょっと、あの『バトル・ロワイアル』を思い出したね。
思うに、あの頃から、小説、コミック、そして映画は
平成独自の“戦慄”をまとってきたような気がする。
観ていて顔が硬直してくる。
生きるか死ぬか、食うか食われるか?
あそこには、数年前から
やたらと口にされている“自己責任”の原点があったような…。
この映画は、そのビジュアルもそうだけど、
いわゆる勝ち組が負け組を罵倒する言葉が超過激。
特報の最初にも
「ようこそ。クズの皆様」とある。
いやあ、まいったね。
ぼくとしてはこの映画は、
こういう勝ち組負け組が当たり前の価値観となっている現代社会を痛烈に批判していると、
そう取りたいけど、
人によっては、
こんな社会で生き残るにはいまのままの生き方ではだめだと、
フリーターやニートに発破をかけていると取るかもしれない。
現に、仮プレスには“人生は逆転できるという熱いテーマ”、
“カイジの「決してあきらめない」という姿勢”
“観終わったときの爽快感”といった言葉が並ぶ。
いろんな意味で
映画も社会も一筋縄ではいかなくなってきたという気にさせられたね」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「“共生”という言葉はどこに消えたのかニャ」小首ニャ

ぶるぶる。ぼくなんかがビール飲んじゃいけない気にさせられた度

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