ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『主人公は僕だった』

2007-02-11 13:22:11 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


(原題:Stranger Than Fiction)

----このごろ、ちょっとひねったタイトルの映画が増えたね。
少し前までは原題の英語をそのまま読ませていたけど…。
でも、この場合はすぐに中身がコメディだって想像つくから
これはこれでいいのかな?
「ふ~ん。フォーンはこの映画をコメディと思っているんだ?」
----あれっ?そうじゃニャいの?
『もしも昨日が選べたら』みたいなファンタジー・コメディだと思ったけど?
「でも、あの映画はコメディの形を借りながらも
テーマはけっこうシリアスだったよね。
それに対してこちらは、その狙いが今ひとつはっきりしない。
まず簡単にストーリーを話そう。
毎日、規則正しい生活を送っている男ハロルド(ウィル・フェレル)の耳に、
ある日、突然自分を語るナレーションが聞こえてくる。
この声は誰?と気になって仕方がない彼は、
自分の人生が、ある悲劇作家が執筆中の小説だということを知る。
しかも結末は主人公の死!
かくしてハロルドはそのストーリーを書き直させようと
文学の専門家ジュールズ・ヒルバート(ダスティン・ホフマン)を味方に
真実を突き止めようとする!」

----ははぁ。『トゥルーマン・ショー』みたいなもんだ。
「いや。あれだと周り全部が自分の人生が作られたものを知っているわけだけど、
これは<本人>しかその事実を知らない。
当の作家さえ、まさかそんな事態が起こっているとは
【知るよしもなかった】」

----ん?なんで【知るよしもなかった】に【】(括弧)を付けるわけ?
「まあ、それは映画を観てよ。
重要なキーポイントの一つだから。
で、この文学の専門家ヒルバートは、
『悲劇は死で、喜劇は結婚で終わる』と、
喜劇の定番である『最初は敵対する相手と恋に落ちる』ことを勧める。
かくしてハロルドは
小さなケーキ屋を経営するアナ・パスカル(マギー・ギレンホール)に
アプローチを始める……」

----ん?ハロルドとアナの関係は?
「ハロルドは国税庁の会計検査官。
アナは堂々と脱税……と、こういう関係さ。
この映画は、ウィル・フェレルとマギー・ギレンホールという、
特別の美男美女というわけではないカップルの組み合わせが
映画に親近感を持たせてくれている。
2人が恋に落ちてベッドインとなる流れも好感が持てたね。
ただなあ……」

----どうしたの?
「いかんせんこの映画は真面目すぎる。
後半、映画は主人公ハロルドの運命が死へ向かうのか否かと言う
極めて重い内容に移行してゆく。
それこそ喜劇を目指しているのか、悲劇を目指しているのか
監督の立ち位置がはっきりしないため、
観ていて少しイライラしてしまった。
ぼくが思うに、
その理由として
ハロルドと作家(エマ・トンプソン)を
実際に会わせてしまったことにあると思う。
そのことで観る者にとっては
ファンタジーをファンタジーとして
素直に受け入れがたい状況ができてしまっている」

----う~ん。よく分からないニャあ。
「たとえば、運命論的なものを描いた映画があったとするよね。
予期せぬことばかりが身の回りに起こって、
“人生には自分の力が及ばないものがある”と、
主人公が思ったとしても、
そこで神様が現れて
『そうじゃよ。わしがやってんだから』と言ったとしたらシラケる。
コメディならいいけどね。
ところがこの映画は人の<死>という究極の問題を扱っている。
それだけにコメディとして割り切れず、
釈然としない感じが残ったというわけさ。
監督がマーク・フォスターと聞けば、
その生真面目ぶりは、なるほど納得だけどね……」


  (byえいwithフォーン)

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※なんと、彼の人生は世界中から観られています!


フォーンの一言「韓国映画だと、こういうの巧そうだニャ」なにこれ?

※主人公2人はよかった度
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