ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『今宵、フィッツジェラルド劇場で』

2007-02-04 17:39:55 | 新作映画
(原題:A Prairie Home Companion)

----なんだか素敵なタイトルだね。
ロバート・アルトマンの作品とは思えないニャ。
「そうだね。
ぼくもこのタイトルは
配給会社ががんばったと思う。
内容としては
30年あまり生き延びてきたラジオの音楽バラエティショウ
『プレイリー・ホーム・コンパニオン』の
最後の公開生中継の舞台裏を描くというもの。
原題はその『プレイリー・ホーム・コンパニオン』だけど、
いくらこれが実在する同名の音楽番組がモチーフとは言え、
少し伝わりにくい。
で、その公開録音が行なわれている(設定の)
フィッツジェラルド劇場をタイトルに持ってきたというわけだね」

---それにしても豪華な顔ぶれだね。
アルトマン映画らしいや。
「そうだね。
なかでも注目なのは
あのメリル・ストリープがリリー・トムリンと
姉妹という設定でカントリー・デュオを組んでいること。
リリー・トムリンは、
これもアルトマンのC&Wをモチーフにした
アンサンブルムービー『ナッシュビル』で記憶に残る女優だね。
ここに娘役でリンジー・ローハンも加わり、
クライマックスでは一緒に歌ってくれるんだからたまらない」

---ウディ・ハレルソンとジョン・C・ライリーも
男性デュオを組んでいるんだよね?
「うん。
アルトマンは彼らに少しヤバメのトークをさせることよって
“最後の一夜”を描いたこの映画がウェットに流れすぎないよう配慮している。
でもいちばんこの映画で不思議な役どころは
ケヴィン・クラインとヴァージニア・マドセン。
ケヴィン・クラインは番組のボディガードという設定。
その彼がフィリップ・マーロウを思わせるいでたち。
しかも楽屋口で、
白いトレンチ姿の謎の美女ヴァージニア・マドセンを見かけ、
ただならぬ気配を感じる……。
冒頭は、それこそフィルムノワールを思わせる雰囲気。
まさか、ここからあの
カントリー&ウエスタンの世界が始まるとは
普通だったら予想だにできない」

---ニャるほど。
でも本国アメリカの人だったら楽しめるのかもね。
「そうだと思う。
司会のギャリソン・キーラーは本人が演じているんだけど、
彼は実際にこの『プレイリー・ホーム・コンパニオン』の
司会者・脚本を勤めていたらしい。
この映画でも出演だけではなく原案・脚本を担当している。
そうそう、サム・ペキンパー映画の常連だった
L・Q・ジョーンズなども出演している」

---でも、これってアルトマンの遺作だよね。
彼らしさってのは他にもあった?
「正直、これが遺作としては少し寂しい気もするけど、
たとえばヴァージニア・マドセンの白づくめの衣装など、
彼ならではの発想がオモシロい。
マドセンの役柄からすれば、
普通ならばこれは黒づくめ。
そう言えば、撮影時からアルトマンの病状が心配され、
“後継者”と目されるある監督が
スタンバイとして撮影現場に立ち会ったらしい」

---えっ。それだれ?
「ポール・トーマス・アンダーソン。
ね、なるほどって感じでしょ?」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「アルトマン、亡くなったんだニャあ」悲しい
※少し寂しい度
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