ほっつき百選1で書いたように、
登録NO1はハマデラソウと決めていた。
しかしその時はまだ花の時期には早く、
実際に咲いている写真を紹介することができなかった。
で、そろそろ花の時期だろうということで、
ほっつき走ったり歩いたりしながら、
時間があるときに4回ほど
かつての自生地を訪ねていった。
行くたびに悲しくなるのは
そこにある、朽ちかけた看板だ。
そこには、貴重な植物の自生地であることが
書かれてあるにもかかわらず、
看板そのものも絶滅しかけている有様である。
倒れたまま放置された看板
そして看板同様、
自生地あたりも最近はあまり顧みられることもなく、
草ボウボウの状態である。
ただ、一か所だけ草が刈られてある場所があり、
もしかしたら誰かがひっそりと
ハマデラソウのために
手入れしてくれているのかも
と一縷の望みを抱いていた。
そこに脚を運ぶたびに、
小さな草芽を見ては
これかもしれないと
希望を持ってしまうのだが、
数日後に行ってみたら違っていた
ということばかり続いていた。
そして、それはある日の昼下がりのことだった。
行き慣れたその場所に行き、
前回チェックしておいた草芽が
やっぱり別の植物のものらしく
「あ~あ、やっぱりこの地の
ハマデラソウは絶滅したのかなあ」
と落胆して帰ろうとして、
ふと後ろを振り向いた時だ。
青々としたエノコログサの根元から、
一本の花茎が伸び、
その先に白い粒々の花がついているのを発見したのだ。
それは紛れもなくハマデラソウであった。
うひょー、生きていてくれた、
とちょっぴり感動した。
昔はこの感動が忘れられなくて、
プラントハンターをしていたようなものだ。
あ、ハンターといっても摘んだりはしないよ。
写真に撮るだけですがね。
八ヶ岳の森で初めてイチヨウランを見つけた時、
白馬岳の下山道でまだ見ぬムシトリスミレを
見つけた時の感動は今も鮮やかに覚えている。
その感動は、それが奥地であればあるほど、
また希少な植物であればあるほど
大きいものなのである。
なので「希少」の観点からいうと、
ハマデラソウの自生確認もまた
感動ものなのだ。
夢中でシャッターを切ったら、偶然にも
ちょうど種が今まさに落ちていく瞬間をとらえていた。
これ。
まるで、doironの訪問にご褒美を
与えるかのような
命の営みの瞬間である。
そしてよく見ると
そのハマデラソウが生えていたのは、
地面ではなくコンクリートの上に積もった
腐葉土の上であった。
このあたりが、
いかに手入れがされていないかがよくわかる。
そのおかげで、
薄い土の層ができて、
その薄い土の中で発芽したのだ。
まるでど根性発芽である。
さらにあたりを見回すと、
同じように腐葉土の上に
葉を広げて花茎を伸ばしている
ハマデラソウを4株見つけることができた。
4株で10本の花。
これがおそらく今年大阪、
いや日本に自生する
唯一のハマデラソウの姿だろう。
ほっつき百選のNO1にふさわしい逸品だ。
今年のハマデラソウはぜひ種を採取して、
日当たりのよさそうなところに
撒いておいてやろうと思っているdoironなのでした。