市町など各自治体の来年度予算がほぼ固まった。
記事を書いているミニコミ誌の記者(ライター)としては
そんな予算の概要も掴んでおきたいところであるから、
近く企画している最近の消費者トラブル関連の取材と同時に、
予算資料の配布についてお願いをしに
ミニコミ誌の配布エリアとなっている各市町を回った。
かつての職場でdoironは
そのお願いを受ける方であったが、
今度は投げる方になっているのだから、
人生どうなるかわからないものだ。
取材に行くときはこんな格好。
恰好はある程度大事だ。
なめられちゃいかんしね。
少し上品にニットのカーディガンを着て、
その上にアウトドアコート。
手帳を片手に
「うちのかみさんがねえ」と言う・・・
ちょっと違うか。
先ず最初に行った市では、
広報担当の職員と
ここんとこの取材を通じて割と親しくなっているので、
いろいろと話をさせていただいた。
もちろんこちらの経歴は伏せている。
こちとらは広報担当の苦労は
いやというほどわかっているから、
ツボは心得ている。
さぞかし相手も話しやすい記者だ
と思っているだろう。
広報担当というのは、
まず全体の予算概要を把握する。
歳入内訳とそれぞれの項目の経年推移、
市債の残高なども必ず聞かれるので、
しっかりとまとめておかねばならない。
また、細かいところでは
報道機関が興味を持ちそうな各事業について、
予算内訳などを担当に聞き取り調査をし、
あらかじめ広報メモなどを作っておく必要がある。
発表時に記者の求めに応じて
できるだけ広報担当が説明したり、
資料を渡したりしなければならないからだ。
そのへんは広報担当の
最低の仕事なんだけどね。
そのあたりの段取りを心得て、
いよッ!お役所のミスター大変!
と持ち上げてやる。
おかげでここでは一介のミニコミ記者でも
懇切丁寧に対応していただけている。
次に行ったのが地元の市。
これがねえ、
あまり広報力が高いとは思えない対応でがっかりしたな。
突っ込んで聞いても、よくわかっていないようだし、
いちいち「上司に訊いてみます」
と中に引っ込むのは、
言葉の信ぴょう性を奪ってしまうのにな
なんて思いながら話をさせていただいた。
きっと、その通り書きますけど間違いないですね
と念を押したら、
「ちょ、ちょっと待ってください」
なんてうろたえるのに違いない。
まあそんな意地悪なことはしないし、
言わないけどね。
こちらの資料としての取材だから
本当に書くときにはきちんと念を押させていただきます。
とまあ、対応がなってなかったら、
こっちとしてもついついぞんざいに
なってしまいそうになりますので
広報担当者には心得ておいていただこう。
そして次に行った市では、
なんと地元の祭り関係者が担当職員であった。
いつもだんじりで顔を合わす知り合いで、
まさかこんなところで会おうとは思ってもみなかった。
カウンターで名刺を差し出していると、
奥の方から「doironさん、今日は何でんねん」
と声がかかったので見てみると、
隣村の前の祭りの総括責任者であった。
実は・・・といきさつと用件を話すと、
「ほんまに何でもやる人やなあ」とこうだ。
「いやあ、こんな仕事は前からやりたかってん」、
「そういえば、祭りの記念誌を作るときに頑張ってたもんなあ」
とそんなやり取りがあった後に
懇切丁寧に取材に応じていただいた。
こんな時は地元で顔が広いのも有利なものやね。
彼は取材の合間に
そんなdoironの仕事の話を聞いて、
「わしも退職したら、今の職場ではなく
地元にもっと貢献できるようなことを
せなあかんと思ってるねん。」とつぶやいていた。
地元に恩返ししているつもりはないけど、
あらためてdoironの今の仕事は
言葉一つで地元を盛り上げていける仕事でもあるんやなあ、
と気づかされた次第である。
取材を終えて帰宅して、
そうか、ではさらに頑張ろう
と思って書いた記事は、
根が単純でノリやすい性質なので、
気合を込めることができたため
自分でもなかなかの出来であるように思ったのでした。
取材は、相手とのやり取りが命ですが、
そのやり取りで自分の動向を左右させたり、
あることについてああ自分はこんな風に考えるのか
ということにも気づくなど、
実は取材は相手を見るだけではなく、
自分自身も見つめているという
側面もあるのだなとふと思ったのでした。