今日は仕事で駅伝に行ってきました。
知らない人が聞いたら、
え~、駅伝が仕事なんですか?
と思われるかもしれませんが、
もちろんそんな実業団ランナーではありません。
社長が開会の挨拶をするので
その随行でした。
したがって、服装はランニングジャージではなく
黒いスーツに黒いダウンジャケットで会場に行ったわけです。
会場に向かう車の中で、
「駅伝は、リレーを除いたら
陸上競技の中で唯一の団体競技なんです。
たすき渡しは、仲間との絆を渡すんですよ」
と社長にうんちく話をしていたら、
「それ、いただきます」
と言われて、開会の挨拶のときに、
そのフレーズを言葉の中に入れてはりました。
事前にあいさつ文は部下が作って渡してあるんですが、
直前のdoironとの会話を取り入れてくれる。
そんなときは秘書冥利に尽きるってもんですな。
そんな挨拶を含む式典が始まり、
社長が来賓の列に整列中は、
doironは遠からず近からずという
絶妙の場所に立たねばならない。
何かを突然要求されるときもあるので、
視線の端の方に必ず存在を誇示しておかねばならないのだ。
以前も、突然目で合図され、
そばに駆け寄ると、
「隣に立たれている来賓の人に
挨拶できる場面を関係者に手配して
作ってあげてください」
と、急に言われたこともあるしね。
随行はただ横に付いて
荷物を持ってるだけではないんでっせ~。
常に神経を研ぎ澄ませていないといけないから、
意外にしんどいのだよ。
ところが今日は、
doironがただ退屈して
立っているように見えたんだろう、
駅伝に来ていたかつての仲間や
ライバルや知り合いが次々に
「今日は走らへんの~」
と声をかけてきて大変でした。
そのたびに、
「今日は随行なんや。
それに、年末に身体を壊して
レースはもう引退かも。
詳しくはWEBで~」などと、
どこぞのCMのように言ったりしていた。
みんなは一様に
「え~それは寂しいなあ」
と言ってくれるのだが、
「えへへ」と笑ってごまかした。
もちろん目線は社長からははずさないでね。
そんな気配を察してだろう、
知り合いたちはありがたいことに
それ以上はあまり突っ込んでは来なかったわい。
しかし、実はそんな「えへへ」とは裏腹に、
本当はここんとこは
ずっとそのことばかりを考えていたのだ。
確かにトライアスロンやウルトラマラソンを始め、
レースから離れることは寂しい。
荒野にポツンと置いてけぼりを
くったような寂しさがある。
走り続けてきて、目の前の道が
突然なくなってしまうような、ね。
しかしそう思う反面、
心のどこかにほっとしている一面もないわけではない。
だって、もう自分は
命の極限までランニングを愛し、
走り続けてきたんだ。
僕は死ぬほど走ったんだと
言っても許されるじゃん、てね。
この世に受けた生のすべてを使い果たす
ところまで走ったんだ。
だから後悔はそれほど無いんだよな。
あとは生き続けることを神様に許されたこの身体で、
走ること以外で出来ることを
精一杯やればいいんじゃないかと
思ったりもするのだ。
もちろん、もう全く走らないというつもりはない。
現に、最近は5キロジョグくらいまでは
平気で出来るほどにまで、
身体も心も回復しているしね。
喉もと過ぎれば熱さも忘れる。
人間は意外に強いもんだ。
もう少し暖かくなったら
バイクにも気持ちよく乗りたいなと思っているし、
ハイキングで山にも行きたいなとも思っている。
じっとしているだけの人生なら
命をいただいた意味が無いもんね。
そうして生き続けて、なにかあったら
もうそのときは仕方ない。
そう人生は、
凸凹だらけ、アップダウンだらけ、
水たまりだらけやけど、
これからもひょいひょいと
超えて歩いていくしかないもんね。
社長の随行という仕事で
駅伝の現場に行くと、
「みんな走っているのを見たら、
さぞや走れない自分がつらくてヘコむやろなあ」
と思っていたのだが、
仕事中という境遇の中にいると、
冷静にいろいろと考えることが出来るもんだ。
そうして思った以上に
回復している自分の気持ちを確認できて、
季節も自分も、春を予感させる暖かさを感じながら、
仕事が出来たなと
満足しているdoironなのだ。