雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

わたしとトムおじさん

2010-08-11 21:56:06 | 
小路 幸也
朝日新聞出版
発売日:2009-01-20


小路幸也著"わたしとトムおじさん"を読みました。
わたしこと帆奈(はんな)はニューヨークにすむお父さん、
お母さんが別居し両方が仕事で忙しいので日本の
祖父母のところで暮らすことを選びます。
祖父母は明治たてもの村という施設の中にある八島庵と
いう蕎麦屋を営んでいます。住まいはその蕎麦屋さんです。
帆奈のお父さんはイギリス人です。
お母さんの弟の斗六(トム)は高校を中退した元引きこもりです。
芸実的な能力を持ったトムおじさんは建物の修復や家具の
修復などを仕事にしています。
村から出ていけなかったトムですが徐々に働く場所を広げ
人とのつながりを広めていきます。
帆奈は学校でいじめに会います。それで学校へいくのを
止めてしまいます。いじめに屈したというわけではなく
いじめという理不尽なことがある学校に行く必要は
ないという考えからです。
しっかり者の帆奈と人とうまくコミュニケーションが
とれないトムおじさんです。
トムおじさん、人をうならせるすばらしい仕事をします。
自分と同じような生きるのが下手な子供達を仕事を通じて
手助けしてやります。

いじめやコミュニケーションを取るのがへたな人びとを
描いたものですが暗くはありません。
トムや帆奈は明治たてもの村というコミュニティ内の
人々のつながりのなかで幸せにくらしています。
トムはもう外へ出ても生きていけるでしょう。
それにしても最近はいじめが描かれているものが多すぎです。
世の中にいじめがあるのが当然みたいに根付いてしまって
なぜそれが当然なんだろうと思わずにはいられません。

それからはスープのことばかり考えて暮らした

2010-08-11 07:51:25 | 

吉田篤弘著"それからはスープのことばかり考えて暮らした"
を読みました。
大里(おおり)という若い男性が主人公です。
ニュックネームはオーリィ君。
会社を辞めて無職となり、引越してアパートも変えます。
昔の映画に出てくる端役の女優さんにあこがれ古い
彼女の映画を求めて映画館へ通うのを趣味にしています。
近所のサンドイッチ屋さんのおいしさにひかれて毎日
通っています。
そのうちその店の店主に働かないかと誘われます。
サンドイッチ作りに打ち込むようになります。
アパートの大家さんのマダムや、サンドイッチ屋の
安藤さん、息子のリツ君、映画館でよく出会う
緑の帽子の老婦人のあおいさん、その孫の森田君
など登場する人々がみんないい人たちです。
いつの間にか知り合いになっていった人々です。

近くに商売がたきのサンドイッチ屋が出来てお客さんが
減ったことで何か新しい物をということで考えたのが
スープを作ることです。
スープを開発することをまかされたオーリィは
本を買って毎日のようにスープ作りに没頭します。

特にストーリがあるというわけではなく街で生きる
人々の日々を描いたものです。
やさしい人々に包まれおだやかな気分になります。
ただ最後の終わり方があまりにも尻切れトンボで、
もうちょっとなんとか終わった、という感じに
まとめて欲しいです。
なんか気分が落ち着きません。