宇江佐真理著"なでしこ御用帖"を読みました。
八丁堀の町医者麦倉洞雄の長男の助一郎は医者を目指し
小石川養生所で修行中です。
次男の流吉は医者には向かないと呉服屋で働き始めます。
末っ子のお紺は父親の仕事を手伝っています。
"八丁堀のなでしこ"
流吉の借りている家の大家さんが殺され流吉が犯人と
疑われ捕まってしまいます。
知り合いの岡っ引きの金蔵を手伝ったり情報を引き出し
たりしてお紺は兄を助けるため動きます。
このことをきっかけに流吉は実家で祖父、母の仕事の
着物の仕立ての仕事を自分の仕事と定めます。
"養生所の桜草"
助一郎の職場の小石川養生所での出来事です。
運営、事務を行っている武士の与力、同心の腐敗が
蔓延しています。助一郎はこんな養生所に減滅を
感じています。
何人もの患者が自殺に走る状態になりました。
女性の看護人が暴力をふるわれ怪我をします。
養生所をさぐるためお紺は養生所に看護人として
潜り込みます。
"路地のあじさい"
居酒屋を営むおきえが洞雄の診療所に診療にやって来ます。
おきえの病気が重く長く生きられないことがわかります。
そんな時に店にやって来た酒癖が悪い安治がおきえとけんか
して店を出たあと殺されます。
おきえに疑いがかかります。
お紺がのりだします。
"吾亦紅さみし"
長沢三之丞は年番方の書物同心です。長沢家に養子に
入って暮らしの不足を補うために絵を描いています。
奥さんは嫉妬深い人です。三之丞が上司から依頼された
絵が苦労の末に描き上がろうとした時に、その絵を見て
傷つけてしまいます。
三之丞は家督を息子にゆずった後家を忽然と出て行って
しまいます。
しばらくして完成した絵が上司に届けられます。
"寒夜のつわぶき"
お紺の家に野良猫がやってくるようになりました。とらと
呼んで餌を与えています。
一人ばたらきをしている定吉という盗人が捕まりそうに
なりながらも逃げました。
その定吉が飼っていた猫がとららしいとわかりました。
とらを利用して押し込みをしようとしている定吉です。
"花咲き小町"
行き倒れて養生所に連れてこられた男は耳が聞こえない
ようでぼんやりしています。半鐘と呼ばれて掃除をして
暮らしています。
お紺には同心の有賀勝興との縁談があります。
洞雄の弟子の根元要之助に結婚して欲しいと望まれています。
お紺はどちらにも心ひかれることがなくそのままにして
いました。
要之助が押し入った盗賊に刺されたことで事態が変わって
いきます。
宇江佐さんの本は安心して読めるので好きです。
でもこの本は切れ切れの時間の合間に読んでいたためか
何かすっきり物語りの中に入っていけなくて物足りない
感じがしました。