恩田陸著"訪問者"を読みました。
山中にたたずむ古い洋館を井上と長田が訪ねます。
三年前に死んだ朝霧千沙子が建てた家です。
幼いころ千沙子に面倒を見てもらっていた映画監督の
峠昌彦が事故で死にました。
井上は昌彦の友人であり弁護士です。
昌彦の遺言を持ってきたのです。
洋館には千沙子の兄弟が住んでいます。
千蔵、千次、千衛、千恵子とその夫の宮脇協一郎
わけあって預かっている子供の愛華、家政婦の
更科がいます。
昌彦の遺言には自分の父親はこの館にいる4人の
中にいる。名乗った人に財産をゆずるというものです。
途中から登場する愛華の母親の澄子
後半には千沙子の幽霊のまねをするために誰かに
雇われた役者の小野寺も加わります。
事故死と思われている千沙子と昌彦は誰かに殺された
のではないかという疑いや雨の中現れたもう一人の
男の事故死など館に住む人たちと、井上たち、後から
加わった小野寺との間でやり取りが交わされます。
真実はなんだったかがけ崩れで閉じ込められた
空間で駆け引きが繰り返されます。
一応この館で今回起こった出来事の真実が表されます。
そして過去の出来事や昌彦の父親は誰だったか、みんなが
そういうことだったのかと受け入れられる推測が語られます。
でもなんかすっきりしません。小説はありえないことを
さもあるように思わせるものですが、この本はすっきり
受け取れないのです。
なんだか無理があって、それはないでしょうと思ってしまいます。