風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル @浜離宮朝日ホール(1月13日)

2023-01-14 02:53:18 | クラシック音楽




ショパン:ポロネーズ第7番 変イ長調 Op. 61「幻想ポロネーズ」
ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op. 49
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op. 60
(20分間の休憩)
シューベルト:楽興の時 D780 Op.94
*****
ショパン:子守歌 変ニ長調 Op. 57(アンコール)
ショパン:前奏曲 嬰ハ短調 Op. 45(アンコール)
ショパン:夜想曲 第18番 ホ長調 Op. 62-2(アンコール)


11日のサントリーホールに続いて、浜離宮ホールのリサイタルに行ってきました。

今日もポゴさんは15分前まで舞台上でポロンポロン。小ホールでもぶれないポゴさん笑。
ポゴレリッチのリサイタルをサントリーホール以外で聴くのは初めてですが、浜離宮で聴くポゴさんもとてもいい
前半のショパン3曲は11日にも聴いているし、弾き方も基本的に同じだとは思うけれど、やはり会場が変わると響きも変わり、また今日のピアノは11日よりも音がクリアに聴こえました。なので、幻想ポロネーズも本日はしっかり堪能できました。

幻想曲の軍隊行進風のところ、11日にも感じたけど、ポゴさんの音で聴くと気持ちがいい。この曲、改めて聴くと決して切ない感じの曲ではないのに、やはり今日も切なく感じました。こんなにも祖国への想いが強い人なのに、もしかしたら二度とそこへ戻れないかもしれないと彼は感じていたろうか、とか。せめて心臓だけでもと思った心境を想像すると、切ないな…。

続いて、大好きなポゴレリッチの舟歌。聴くのはこれで3回目だけど、もしかしたらこれが最後ということもあるかもしれないと思いながら、大切に大切に聴きました。人生なんていつ何が起きるかわからないもの。小ホールのため響きが隅々まではっきりと広がって、一層心動かされました。

(20分間の休憩)

後半は、シューベルトの楽興の時
このプログラムを知ったとき、「ポゴレリッチのシューベルト…?」とどんな風に弾くのか全く想像できなかったけれど(今までのレパートリーにないですよね)、ポゴさんのシューベルトがまさかこんなに良いとは。。。。。
特に123456が良かった。いやほんとに、全部良かった。
第3曲はとても新鮮な弾き方で、確かに独特だけど、これ以上の弾き方はないのではと感じさせられる説得力。
そして第6曲。この曲のポゴさんの演奏は、リヒテルのようなゆっくり系。
楽興の時は1823~1828年にかけて作曲されたそうだけど(1828年はシューベルトが亡くなった年)、この第6曲は最後の年の作曲なのだろうか。今夜のポゴレリッチの演奏は、そう感じさせられる演奏でした。優しく、切なく、無垢で、気高く、美しかった。。。

また、今夜のポゴレリッチのショパンとシューベルトには、バッハを感じました。この二人の作曲家にバッハを感じたのは私は初めてだったな。毅然とした気高さが胸に響きました。

アンコール3曲は、本日も舞台袖に引っ込むことなく、「自ら曲名アナウンス→演奏」×3。
客席からの拍手を受けながら、ご本人はマイペースに手元の楽譜をペラペラ準備

静かに静かに終えられた楽興の時から同じ空気のまま続けられた子守歌前奏曲ノクターンの流れ、物凄かった。怖いくらい。
切なくて、でも限りなく優しく温かい、涙が出るような美しさでした。
これは滅多に出会えないpricelessな演奏会だ、と聴きながら感じていました。

初めてポゴレリッチを聴いたときは、こんな演奏をいつか聴ける日が来るなんて想像もしていなかったな。
ポゴさん、本当に変わりましたよね。演奏姿も以前よりずっとリラックスして見える。
きっとケゼラーゼも天国で喜んでくれているのではないかな、と感じました。いや、演奏にダメ出ししてたりして笑。そしてこんなことを言っていたら、次回はまた別の意味で驚かされることになるのだろうけれど。

そんなわけで今日の演奏会、私は大きな大きな感動をもらえたし、会場の拍手も熱かったので感動した人が殆どだと思うのだけれど、帰りのロビーでは「聴きなれている普通の演奏と違うから、聴きながら葛藤が…」という声も
これほどの演奏を聴いても、やはりポゴさんを聴きなれていないとそういう風に感じるのだね。

サントリーホールと曲目が被っていたのでチケットを買うのを少し迷ったけれど(値段も高かったし)、サントリーと浜離宮の両方に行って本当によかった。
そして何より、こんな演奏を聴かせてくれたポゴレリッチに最大級の感謝を。

今日は2階席のR側だったので1階席が見下ろせたのですが、梶本社長の隣の席にいらっしゃったのは、確かポゴレリッチの奥様ですよね


浜離宮に向かう前に、木挽町広場の歌舞伎茶屋で腹ごしらえ
お腹が鳴るのを気にしながらポゴさんのピアノを聴きたくないですからね。久しぶりに食べたけど、隈鶏カレー、美味しいな。鶏肉が炭火焼き風で。
東銀座は自分のテリトリーに戻ってきたようでほっとする。ここに通いつめた回数は六本木よりまだまだ多いものなあ。


こちらは終演後に東銀座まで戻った際に撮った歌舞伎座。
やはり雨の夜の歌舞伎座は格別に美しく見えます。

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