風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

フライブルク・バロック・オーケストラ mit キャロリン・サンプソン  @トッパンホール(10月22日)

2018-10-27 16:32:33 | クラシック音楽



【J.B. バッハ: 管弦楽組曲 第2番 ト長調 *Johann Bernhard Bach (1676-1749) *J.S.バッハのはとこ】 
【J.S.バッハ: 教会カンタータ 「わが心は血にまみれ」 BWV199 】
(休憩)
【J.S. バッハ: オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 BWV 1060a】
【J.S.バッハ: 結婚カンタータ「いまぞ去れ、悲しみの影よ」 BWV202 】
【山田耕筰:からたちの花(アンコール)】
【J.S.バッハ: カンタータ 「わが心は血にまみれ」 BWV199より、第8曲アリア(アンコール)】

キャロリン・サンプソン(ソプラノ) Carolyn Sampson, Soprano 
アンネ・カタリーナ・シュライバー(ディレクター、ヴァイオリン) Anne Katharina Schreiber, Direction and Violin
カタリーナ・アルフケン(オーボエ) Kahtarina Arfken, oboe

ブロムシュテット×N響(20日夜)→ムローヴァ(21日昼)→ポリーニ(21日夜)→フライブルク(22日夜)と異常なクラシック音楽尽くしだった週末。
どれもが素晴らしい演奏会だったので変な疲れを感じることは全くなかったけれど(感動できない演奏会の場合は一回でもすごく疲れる)、でも音楽はやはりもう少し余裕をもったスケジュールで聴きたいものであるなあ。贅沢な悩みであるのは承知しておりますが。
そんなわけでトッパンホールは遠いし、思いがけず前日にポリーニの振替公演も入ってしまったしで、この演奏会は行くのどうしようかなと実は少し迷ったのですが、行ってよかった

私のように色々な演奏会に行ってネットの感想とかを読んだり&自分のブログも書いていると、アンサンブルがどうとか、気付くと変にコムズカシイ楽しくない気分になっていることが時々あって。はて私は何をしに演奏会に行っているのだったっけ?と思うことがあって。
そうだった、音楽って楽しむためにあるのだよね、という単純で根本的なことを思い出させてもらえたこの演奏会だったんです。

このホールは初めてでしたが、客席の雰囲気もとてもよかった。気負いがなくてのんびりしていて、音楽を純粋に楽しみに来ている風の人が多いように感じました。休憩時間の会話を聞いてると沢山演奏会に行っている風な人達ばかりなのにコムズカシイ蘊蓄を言っている人は全然いなくて。みんなニコニコしてて。

そして演奏も、なんて生き生きとしたバッハ
最初の曲からその躍動感に溢れる演奏に釘づけになってしまいました。でも決して鋭いだけではなくて、一曲目(J.S.バッハのはとこさんの曲)の第7曲ジーグについて会場でもらったプログラムの解説に「のどかな感じもあり、それがどこか古(いにしえ)のアイゼナハの宮廷を思わせて好ましい」と書かれてあるそのままの空気を感じることができた演奏で、なんて幸せな空間だろう、と。

カンタータを歌ったソプラノのキャロリン・サンプソンがまたとても素敵で
私の席は2列目の中央ど真ん中で彼女のすぐ近くだったのですが、歌っているときの表情もとてもよかった。
「わが心は血にまみれ」の第4曲アリアあたりから声にどんどん滑らかさと透明感が増していって、こういうのを聴いていると、人間の喉は究極の繊細な楽器なのだなあと改めて感じたのでした。
こういう清らかなバッハも、いいものですね。
前日のムローヴァのリサイタルで神と罪について考えたばかりだったので、その流れでこの曲を聴けたのは本当に嬉しかったし、有難かったです。
しかしドイツレクイエムのときも思いましたが、歌唱付きの曲を聴く場合は対訳までの予習は必須ですね。当然ながらその歌詞の内容を表した表情と声で歌うので、その歌詞の内容を知っているのと知らないのとでは理解度も感動も全く違う。私はドイツ語の発音には全く馴染みがないですし(歌詞から英語の発音で想像すると全然ちがったりする)、更にこういう歌ってある部分に戻ってリピートしたりするので、ただ歌詞を上から順に目で追ってるだけではすぐに迷子になってしまう。
それでもそうそう完璧に予習できるわけではないので、今回のようにプログラムに対訳が全て書かれてあるのは非常に非常に助かりました。
合唱をやっている人達などはもっとずっと気軽にこういう演奏会を楽しめるのだろうなあ、と羨ましくなります。

アンコールは2曲。
サンプソンが手元の紙を見ながら日本語で「今日はお越しいただきありがとうございます。もう一曲きいてください」と
「からたちの花」の歌はもちろん知っていましたが、よくあるサービス的に日本の曲を日本語で歌ってくれたのかと思っていたら、帰宅して調べたところ山田耕筰は「ニューヨークのカーネギー・ホールで自作の管弦楽曲を演奏、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やレニングラード・フィルハーモニー交響楽団等を指揮するなど国際的にも活動、欧米でも名前を知られた最初の日本人音楽家でもある。」(wikipedia)と。へ~
この「からたちの花」、サンプソンの明るく清らかな声と非常によく合っていて、なんだかちょっと泣きそうになってしまった。どうも3.11以降は日本のこういう音楽に感じるものがあって。音楽ってやっぱり国境を超えるのかもしれないなあと思うのと同時に、日本語はやっぱり私の母国語なのだな、と今聴いていたばかりのバッハのドイツ語と比べて実感したりして、興味深くもありました。

アンコール2曲目は、「わが心は血にまみれ」 BWV199より、第8曲アリア。この曲をアンコールでやってくれるのはとても嬉しい。明るい気分での打ち出しとなりました。
プログラムによるとこのオケは年間約100回の演奏をしているそうで、よくこんなにフレッシュに楽しそうに演奏ができるものだ。プロだねえ。

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