風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

アルカディ・ヴォロドス ピアノリサイタル @Het Concertgebouw(6月10日)

2018-06-28 01:25:20 | クラシック音楽
昼のコンサートが終わり、一旦宿へ。
さて夜のリサイタルまで、どうしましょう
Vondel Parkをお散歩?でももうこの時間は人が多いだろうし、なによりワタクシもう歩きたくない。
ただ帰国前にあのニシンはもう一度食べたい。店はトラムの停留所の目の前で、ここからわずか数駅となれば、Let's Go~~~


宿の最寄りの停留所の向かいの建物が素敵と思ったら、なんてことない、国立美術館を横から見ていたのであった。
停留所の名前は「Rijksmuseum(国立美術館)」だもんね


やっぱりとても美味しい 
周りの環境は全く美しくないけど~。

それからトンボ返りで宿に戻ってシャワーを浴びると、猛烈な眠気が。。。。。。
お布団ぽかぽか。。。
裏の通りで遊んでいる近所の子供達の声が遠のいて。。。。。

目が覚めたらちょうどいい時間に
日本から持参したインスタントのリゾットで腹ごしらえして、着替えて、本日二度目のコンセルトヘボウへ~♪

さて今回の旅行で私は3つのコンサートのチケットを買っていたわけでありますが、そのうち購入時の内容どおりに開催されたのは8日夜のハイティンク×コンセルトヘボウの1つだけなのでした。
10日昼のコンサートがハサン×コンセルトヘボウに変更になったのは既に書いたとおりですが、この10日夜のピアノリサイタルもペライア→ヴォロドスに変更になったものなのです。
そんなですので、8日夜に指揮台に立ってくださったハイティンクには感謝しかありません。

10日夜のチケットは、ペライアのリサイタルとして、€90で買っていました(日本と変わらないお値段。オケの方は日本の半額なのに何故なの~)。
しかし3週間ほど前にペライア→ヴォロドスへの変更メールが。ピアノリサイタルのピアニストの変更なのに、「ヴォロドスが代役を引き受けてくれました!皆さん喜んで!」とあるだけで、チケットの払い戻し等についての文言は一切なし。
そして更新後の公演ページに行ってみると、しれっとチケット代が€75に下がっているではないですか。そこでコンセルトヘボウに問い合わせてみたところすぐに返事が来て、€15をカードに返金する旨と€75の新しいチケットが添付されていました。言わなかった人には返金しないのだろうか 


ホール正面の一見立派なアジェンダボード。


しかしよく見ると結構雑なのがガイジンぽい(ヴォロドスの部分のテープの貼り方)笑


本日の席は、2階右サイドの1列目。
足元は東京文化会館の5階席並の狭さですが、赤い布張りの手摺?が素敵。コンセルトヘボウの赤色の使い方が大好き♪


シューベルトの名前ももちろんあります。

Franz Schubert Sonata in A major, D 959
-interval- 
Franz Schubert Sonata in B-flat major, D 960
-encores- 
Johannes Brahms Intermezzo in E flat major, op. 117 no. 1
Intermezzo in b flat minor, op. 117 no. 2
J.S. Bach / A.Vivaldi Siciliano, BWV 596

さて、ヴォロドスの演奏の感想ですが。
残念ながら私の好みとはちょっと違い・・・
コンセルトヘボウの紹介ではexquisite and flexible toneで知られるピアニストと書いてあるのだけど・・・んー、私の耳にはあまりそう聴こえなかった・・・。pppは聴いたことのないレベルのものだったけど、それがイコール音楽の感動に結びつくわけではないしなぁ・・・(しかし会場奥まで届くあの最弱音はどういう技術なのだろう。相当力加減に気を配っているのだろうなあ。でも聴いていてちょっと首筋がモゾモゾしてしまう音でもある)。
また曲へのアプローチの仕方も私の耳には似て聴こえ、D959もD960もアンコールの3曲もみんな同じような曲に聴こえてしまったんです・・・。もしかしてこのホールの音響が悪いのか?と、あれだけオケで感動した音響も疑い始めてしまったり。「シューベルトはこういう風に弾いてほしい」という私の先入観のせいもあるのかも(ツィメさんの呪いアゲイン!?)。だとしたらそういうのってよくないよなぁ、とかそんなことをもんもんと考えてしまい、気づけば視界正面の「・_・」の顔をじっと見つめている始末・・・↓



ただ、彼の音の真摯さ、そしてヴォロドスというピアニスト自身の人間的な雰囲気はいいなと感じました。
この人はきっと、超絶技巧というイメージから脱却したいと思っているのではないかしら。アンコールの選曲や、大盛り上がりの手拍子でアンコールを要求する客席に対して浮かべた微かな表情に、そんな印象を受けました。きっと真面目で純粋な人なのではないかな。1972年ロシアのレニングラード生まれの46歳。

Schubert - Andante sostenuto from the B flat major sonata, D. 960 (A. Volodos)

これは、今回のリサイタルで比較的いいなと感じた部分です。
このときは「・_・」ではなく、ヴォロドスを見ていました(ピアノはスタインウェイでした)。

Tchaikovsky - Piano Concerto No. 1 (Volodos, Ozawa)

小澤さん×ベルリンフィルとのチャイコフスキー、いいねぇ。ラフマニノフもとてもいいし、この人はシューベルトやブラームスよりロシアものの方が合っているように思うなあ

Arcadi Volodos Prinsengrachtconcert Amsterdam 2001

ああ、すごくいいですね、こういうコンサート♪♪♪



翌早朝、空港に行く前に。
トラムも人もいない通りで、朝日に輝くコンセルトヘボウ。沢山のドラマと歴史の詰まった音楽の殿堂。
凛とした佇まいと柔らかな親しみやすさの両方を感じさせるところが、ここをホームにしているオーケストラの音色と同じ
またいつか来られるかな・・・。来られるといいな。
そしてハイティンクとペライアには、どうかどうか早く回復されますよう、心からお祈りしています。私にクラシック音楽の素晴らしさを教えてくれた、一番好きなお二人ですもの。

そうそう、このホールで印象的だったものがもうひとつ。せっかく綺麗にまとめたのにアレですが。
プログラムの販売や会場を案内しているスタッフのお兄ちゃん達が、めちゃくちゃ品のいいイケメン揃いだった
なんていうかスーツを着ている王子様的な?(いやほんとに)。音大生さんとかなのだろうか。
私:これ、今夜の公演のプログラムですか?
兄ちゃん:はい、そうです
私:いくらですか?
兄ちゃん:€2.5です
私:(お財布じゃらじゃら)
兄ちゃん:お釣りもありますよ
私:(プログラムを買ってから)あの、レディースルームはどこですか? ※王子様相手にこんな質問したくなかったが、仕方がない。
兄ちゃん:そこを曲がって右ですよ
私:ありがとう。(と歩きかけ)
兄ちゃん:あ、ちょっと待って・・・!!!(ものすごい慌てた様子で追いかけてくる)
私:(な、なにごと・・・
兄ちゃん:(プログラム売り場を放って、通路を右に左にうろちょろした後)すみません、右じゃなくて、左でした!
私:(ちょ・・・、なにこの可愛い王子様・・・!)

てなことがあったり、他にも数人話したスタッフ(写真撮っていいかの確認とか色々)がみんなそんな感じで、このホールに行かれたことのある日本人の方達のブログを読むと音響や演奏について絶賛している文章は多いけど、こういう邪な情報について触れているものはなかったので、私が触れておきます


※コンセルトヘボウの公演ページよりヴォロドスについての紹介(よく読まなくても今年の12月の公演用の使い回しですね。おそらく最初の一行を足しただけ。ガイジンぽい笑)
ARCADI VOLODOS: SUPERIOR MASTERY OF TONE AND LIMITLESS DYNAMIC IN SCHUBERT, SKRJABIN AND RACHMANINOFF

Due to health problems Murray Perahia had to cancel his recital.  Arcadi Volodos replaced him.

The day after his recital in 2017 the daily newspaper NRC Handelsblad awarded his last recital five stars. The heading of the review read: ‘Not the brilliance but the depth of the notes.’ Once again the music of Schubert was performed in an ’ultimate’ manner, and we will experience this again in May and December, when Volodos plays two major sonatas of Schubert, this time linked with much Russian nostalgia and virtuosity of Skrjabin and Rachmaninoff!

‘A measure of great music means more for me than life itself,’ Volodos, who by now has developed into one of the most profound pianists in the world, once said. He is known for his exquisite and flexible tone. His virtuosity is likewise legendary. Again and again Volodos’ performances leave his audience enchanted, as if they had been to a spiritual séance.

This profundity is found in every fibre of his being: ‘I am someone who starts living during the night. Around eleven in the evening I am fully awake. That is when I play the piano, compose, write, daydream, read and learn. Daytime is suitable for walking in the park and being with friends, but not for creativity, strength of mind or originality. I enjoy reading Dostojevski and philosophy. What I choose varies. It is as in music: one moment you travel with Schubert heavenward before descending with Rachmaninoff to the depths of the suffering soul, and similarly I enjoy reading Epicurus besides the complicated philosophies of Emil Cioran, my favorite author’. (NRC).





このリサイタルは、マスターピアニストシリーズというものの一環でした。今回はペライアの代役でしたが、ヴォロドス自身も最初からメンバーに入っていて、12月に公演予定のようです。他にはツィメルマンやアルゲリッチやグリモーなどの名前がありました。ヴォロドスはあまりヨーロッパの外へ出ない人のようなので、今回聴けたのは貴重な機会だったかもしれません。

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