【第一夜(9月13日)】
ラフマニノフ:
ピアノ協奏曲第1番 嬰へ短調 Op.1
ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18
10の前奏曲 op. 23より 第4番 ニ長調(アンコール)
【第二夜(9月21日)】
ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30
ピアノ協奏曲第4番 ト短調 Op.40
パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43
二夜にわたるプレトニョフのラフマニノフピアノ協奏曲全曲演奏会。
いやぁ、物凄いものを聴いてしまった。。。。。。
今年はヴィルサラーゼのシューマンとこのプレトニョフのラフマニノフを聴けただけで、もう1000%満足です(新シーズン始まったばかりですけど)。
プレトニョフのピアノはスクリャービン、ショパンと聴いてきたけど、ラフマニノフ、よかったなぁ。
演奏は常にクールなイメージのプレトニョフだったけど、今回、とても人間的な体温を感じさせてもらえたような気がする。
低音は決してロシア系の重厚音ではないのに、あの暗み。どういうテクニックなんだ。
緩徐楽章の音が空間に溶ける美しさ。
決して力を入れて弾いていないにもかかわらずの、スケールの大きさ。
自然さ。
軽やかなのに深い深い美。
その指から生み出される異次元の音響空間。
今回も時々鼻歌歌ってた
カワイの音、プレトニョフが惚れ込んでる理由が改めてよくわかる。足すものも引くものもない、とても素直な音色。なのにとてつもなく美しい。
ただ前回のリサイタルよりも響きが「柔らかさ>透徹感」気味に調律されていた気がするのは、ラフマニノフバージョンだったのかな
高関さん&東フィルも、キレよく濃厚で素晴らしかった。
特に第二夜は、弦のこの世ならざる音の美しさにしばしば息をのみました。
プレトニョフも時折ウンウンと笑みを浮かべて頷いて、満足そうだった
高関さんのSNSによると、プレトニョフの自由奔放さに相当振り回されたようで(入念なリハをしても本番では全く違う演奏をしたり)、ピアニストとの間の即興的な対話が目に見えるような演奏でした。なので決してキズのない”完璧”な演奏ではなかったけれど、では”完璧”って何なのかと今回も思う。
でもって、高関さん、謙虚で良い人&良い指揮者だなぁ。
入退場時も後ろからプレトニョフに拍手をされてて、完全にプレトニョフを立てておられました。
プレトニョフは以前海外のインタビューで「指揮者としてピアノ協奏曲を振るとき、ピアニストの意見は尊重しますか?」と質問されて、こんな風に答えていました。
How do you feel as a conductor when you conduct another pianist in a work you normally play yourself? Do you give him full freedom?
I do. A soloist is a god. He has worked on this music for a year or two, he has prepared his own interpretation. I can help him to understand what he wants to say, what his view is. If I don't like his interpretation, I won't call him again. But while we're on stage together, I will be a part of his world.
(RIO)
間違いなく今回も、オケの演奏にはプレトニョフの解釈が強く反映されていたのだろうと推測する(高関さんも「リハは指揮者が二人いるようだった」と仰っていた)。
ただyoutubeでプレトニョフのピアノ協奏曲の最近の演奏を色々聴くと、たとえばマケラとの2番などは、オケの演奏が今回とは全然違うのよね。マケラの方がずっと大人しい感じ。そして演奏後のプレトニョフの表情も、今回の高関さんとの方が満足そうに見えた。マケラはまだ若いから、ベテランピアニストに遠慮気味になってしまったのかな。
今回二夜にわたってプレトニョフの演奏で一番~四番、パガ狂と聴いてきて、ラフマニノフの人生をその音で辿ってきたように感じられました。
彼がそのときに見ていた景色、そのときに感じていた感情を、音楽作りの変遷を、ロシアからアメリカまで一緒に辿ったような。
そして「ラフマニノフ」という作曲家とその音楽の本質を、ストレートに強烈に感じさせてもらえたように感じた。ラフマニノフってこういう作曲家だったんだ、と初めて知ったような気がした。
第二夜の休憩時間に廊下で若い男性二人が「いままで聴いてきた三番はなんだったんだろう。ラフマニノフってこうだったんだな、って。ラフマニノフはこういう風景を見ていたんだな、って」と言っていたけど、全くの同感。
先ほども書いたとおり、オケにもピアノにも決してキズがなかったわけではなく(特に3番の前半)。
でも最後には、そんなことは感動には全く関係ない、と感じさせてくれる演奏会だった。
キズがあることはその音楽の美しさや感動を損なうことにはならないのだと。人間もきっと同じ。
音楽は本当に人生の色んなことを教えてくれる。
一夜目のアンコールの前奏曲、プレトニョフはこんなに優しい音を紡ぐ人だったのか、と。。。
そしてパガ狂の18変奏には、トリップ状態で陶酔してしまいました。音楽に酔わされた。
二夜にわたってプレトニョフのラフマニノフを聴きながら、「音楽は私なんかよりずっと大きい」と感じました。
今の悩みとか全てが小さなことに感じられてきて、その瞬間、自分と音楽だけになっていた。別世界にいた。
そう感じさせてくれたプレトニョフに、ただただ感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そして、私なんかがこんな演奏を聴かせてもらっていいのだろうか、とも感じた。
私はこの美しさを聴かせてもらうに値する人間だろうか・・・?と。
それは道徳的に正しく生きているか?という意味ではなく、この音楽の美しさに対して恥ずかしくない自分だろうか?ということ。
私はこの美しさに値するような人間でいたい、と強く感じた。
卑屈になんかなっていてはこの音楽の美しさを冒涜することになる、この美しさに感動した自分を冒涜することになる、と。
そんな風に心から感じさせられました。
そしてBCJの古楽器を同じ会場で聴いたばかりだったので、それが今は楽器がこういう音を出すようになって…と、クラシック音楽の歴史にまで思いを馳せたりもしました。
本当に、なんて夜だろう・・・
Verbier Festival 30 Anniversary Gala. 10 pianists play Rachmaninov's Preludes, op.23/ 1-10
👆今年のヴェルビエ音楽祭より。プレトニョフは今回のアンコールと同じ4番で、13:22~。ピアノはスタイウェイ。
Nelson Freire | Rachmaninov: Rhapsody on a theme of Paganini, op.43 - LIVE 2004
👆フレイレのパガ狂もとってもいいので、ぜひ聴いて!
Rachmaninov - pianoconcerto nr 4 (Nelson Freire live London )
👆ラフ4も!
昨日はプレトニョフさんとリハーサル。事前に1時間近く、明快なプランが示され(指揮者同士の打ち合わせのごとく)、私も十分納得して東フィル皆さんと練習に入る。なによりも演奏が素晴らしい。今晩の公演がとても楽しみです。というわけで午前中は軽く金八土手を散歩🏃 pic.twitter.com/yWKjngtLec
— 高関 健 (@KenTakaseki) September 13, 2023
プレトニョフさん/ラフマニノフI+II。G.P.と同じ進行が一つもない…即興的な展開にわずかに戸惑い緊張しながら、この瞬間に新しい演奏を共に創り出す…東フィル皆さんと一緒にその一翼を担う…醍醐味を大いに楽しむ。幸せなひと時を感謝しつつ、もっとたいへんそうな来週を震えながら待つ心境です😓 pic.twitter.com/h6Tga9o7R9
— 高関 健 (@KenTakaseki) September 13, 2023
スコアを読み、準備を進めます。最近ではYouTube, Naxosなどとても便利で、共演するプレトニョフさんの演奏が第3協奏曲だけで4種類も。情報を集め整理して練習に臨みます☺️ pic.twitter.com/xJr3d61MmV
— 高関 健 (@KenTakaseki) September 18, 2023
今日もプレトニョフさんより「練習の前に打ち合わせ」のご希望があり、事前にもう一度スコア📖をチェック✅、年季ものの製本が舞台上でバラバラにならないよう補修をしてから、会場に向かいます🏃🚇 pic.twitter.com/eX4lR3pJlP
— 高関 健 (@KenTakaseki) September 19, 2023
プレトニョフさん、東フィル皆さんと練習。開始前の二人で打ち合わせの後、特に第4協奏曲を綿密に。ラフマニノフは渡米後、環境と心境の変化により作風も大きく変わったこと、Textureと表現をよく理解することを求められる。今日はほぼ時間いっぱいまで、時間をかけて練習しました。 pic.twitter.com/Cx2hyN1jLR
— 高関 健 (@KenTakaseki) September 19, 2023
午前中から一昨日練習について個人的反省会✏️📖幸いにも最近の演奏が(どうやら膝上録音画🤬)とあるサイトを通じて聴くことができるので『傾向と対策』も。おおよそ暗記してからG.P.に臨みます🚇皆さまのご協力をいただきながら、本番は大いに楽しむ予定です☺️☺️ pic.twitter.com/0gEIiGm4nj
— 高関 健 (@KenTakaseki) September 21, 2023
本番は、すでに構想が確固としているので互いに心配なく自由奔放に、僭越だが表現の可能性を探り合うような瞬間も多く、むしろ即興的な展開を楽しむ。恐らく客席にいても、スコアに書かれたすべての音=楽想がこれほどたちどころに認識できる演奏は初めてだったと想像している。 pic.twitter.com/OBFsocrGbY
— 高関 健 (@KenTakaseki) September 22, 2023
練習でも指揮者二人が議論する場面を快く了解、演奏に結び付けてくれた東京フィル皆さんの実現と心意気に深謝。そして演奏後にこれまで遠くに感じていた協奏曲以外のRachmaninoff作品群を研究、演奏してみたい気持ちが立ち上がっています。素晴らしい機会をご一緒できたプレトニョフさんに感謝します。 pic.twitter.com/6xMvHbkcsu
— 高関 健 (@KenTakaseki) September 22, 2023
以下は、shigeru kawaiの調律師の山本有宗さんのSNSより。
アルゲリッチ、フレイレの追悼コンサートで弾いてくれたんですね…。
直前のリハーサル。ラフ1。#プレトニョフ#Pletnev #シゲルカワイ#shigerukawai#ラフマニノフ#ラフマニノフイヤー#コンチェルト#1番2番#東京オペラシティ#ピアノ#コンサート pic.twitter.com/IOxDCRPOBg
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) September 13, 2023
今日はこちら。
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) September 13, 2023
久々のオペラシティ。
日本暑すぎる、、、#プレトニョフ#Pletnev #シゲルカワイ#shigerukawai#ラフマニノフ#コンチェルト#1番2番#東京オペラシティ pic.twitter.com/5BURy8Hw5a
結局、開演○○分前に現れラフ1-2の要点のみをさっと確認して本番に臨む。
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) August 21, 2023
指揮者とオケの緊張感が伝わってくる。#音楽祭
#ユールマラ #プレトニョフ #pletnev #シゲルカワイ
#shigerukawai #ピアノコンチェルト #オールラフマニノフ #プロフェッショナル #指揮者とオケに指導するプレ https://t.co/6OE9tuMIej
湿度95%、プログラムの硬紙も湿気でやわらかく反り返っており舞台のピアノが心配。
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) August 21, 2023
楽譜と違う指の動きがあったので不具合かと気になって演奏後に聞いたら「鍵盤の上に虫が止まっていたので避けて、可哀想だからそっと払った」との事。#野外コンサート#プレトニョフ#演奏中に天才か #優しい人 https://t.co/2PCDX6jjlQ pic.twitter.com/wvO3P1vKNZ
なんと今日は開演2時間前に!
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) August 22, 2023
でもリラックスし過ぎのマエストロ。#音楽祭 #プレトニョフ #pletnev #シゲルカワイ
#shigerukawai #ピアノコンチェルト #オールラフマニノフ #3番好きらしい#トムソン椅子は演奏中に休める様にわざわざ日本から持参#寝癖が可愛い#シャツも綺麗な色で素敵 pic.twitter.com/g9YqUkZh0j
と思ったら急に4番の素晴らしさを熱く語りだすプレトニョフ。ちょっと顔が怖い。#音楽祭 #プレトニョフ #pletnev #シゲルカワイ
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) August 22, 2023
#shigerukawai #ピアノコンチェルト #オールラフマニノフ #美しい4番#弾く度に変わるプレバージョンはどれも魅力的#楽譜販売して欲しい#昨日はよく寝てる pic.twitter.com/b3JLesHF2G
今日はオケ一人一人に熱血指導。
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) August 22, 2023
指揮台に上がって自分で振りだして、今日はあなたがピアノを弾いて私が振るって言い出した。#プレトニョフ #pletnev #シゲルカワイ
#shigerukawai #怪しく美しい4番 #オールラフマニノフ #無茶ぶり#指揮者が二人#プレトニョフバージョン#私は弾けません pic.twitter.com/5jC6ZMWWBW
見事にラフ4の魅力を伝えたプレトニョフ。#音楽祭#野外コンサート#ユールマラ#プレトニョフ#pletnev#シゲルカワイ#shigerukawai#ピアノコンチェルト#オールラフマニノフ#ラフ3#ラフ4#プレトニョフバージョン #アンコールは2曲#凄い数の花束#9月は日本ツアー#オールショパン pic.twitter.com/I5HXanSSVF
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) August 22, 2023
プレゼントした靴下をちゃんと履いてくれるマエストロ。
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) August 23, 2023
コーディネートも素晴らしい。
スニーカーはスイスのブランド、実用的で登山やスポーツにも使用できデザインもシンプル。#プレトニョフ#優しい人 #スコットランド#犬柄 #犬好きさんとつながりたい #犬のいる生活 #コーギー#靴下 https://t.co/OZlOuYva7M pic.twitter.com/5NhPZJNiU9
良い週末となります様に。#子供の情景#kinderszenen#マルタアルゲリッチ#アルゲリッチ#marthaargerich #許可を得ています pic.twitter.com/dgd4HukU0F
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) September 1, 2023
マルタの素敵な笑顔。
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) September 4, 2023
白ワインと共に。#マルタアルゲリッチ#アルゲリッチ#marthaargerich #笑顔 #ピアノ#ピアニスト#コンサート #星座と手相の話が好き pic.twitter.com/eCtsKRdSmN
プレトニョフはピアノを弾き無事終了。
— 山本有宗 Arimune Yamamoto (@ArimuneY) August 23, 2023
アンコールではすすり泣き、そして何故か前にどんどん出てくる観客達。#プレトニョフ#pletnev#シゲルカワイ#shigerukawai#ピアノコンチェルト#この後は韓国#ラフ3ラフ4#プレトニョフバージョン #マダムにモテるプレ様#凄い数の💐#9月は日本ツアー pic.twitter.com/dMyM4R7nTc