風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

NHK交響楽団 第1925回 定期公演Aプロ @NHKホール(11月17日)

2019-11-18 20:38:56 | クラシック音楽




 【ステンハンマル:ピアノ協奏曲 第2番 ニ短調 作品23】
昨秋ステンハンマルの交響曲第2番で素晴らしい演奏を聴かせてくださった、ブロムシュテット&N響。今回はピアノ協奏曲第2番で、ソリストはブロムさんと同じスウェーデン人のマルティン・ステュルフェルト(Martin Sturfält)。N響の解説によると「現在はスウェーデンの一地方に在住し、音楽活動の合間には養蜂やガーデニングなどにいそしんでいるとのこと。ピリスみたいですね
今回の演奏は前回の交響曲のときのような「ただならぬ」空気は感じませんでしたが、改めてブロムさん&N響によるこの作曲家の演奏が私はとても好きだなあと感じました(といっても他の指揮者&オケで聴いたことはないのですが)。今日の演奏では、幸せな気分になれる4楽章が好きだったな。
そして今回もラトル×ロンドン響が上手く演奏しそうな曲だなあ、と。ステンハンマルはブラームスの影響を受けているそうで、確かに突然音楽の表情が変わったり、ロマンチックなメロディをたっぷり聴かせるところなどはブラームスに似ているように思うけれど、4楽章などはシベリウスに似ているように感じる。
ピアノは個人的にはもう少し表情豊かな音色の方が好みですが、ブラームス路線ではなくシベリウス路線で聴くなら、案外こういう音が曲に合っているのかも、とも。

【ブラームス:幻想曲集 op.116-4「間奏曲」(ピアノ・アンコール)】
やはりピアノの音色が少々単調に感じられてしまいましたが、奇をてらわない誠実な弾き方はいいなと感じました。
この頃(1892年)以降のブラームスの作品に漂うものには胸が締めつけられますね…。

(休憩20分)

【ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調 作品90】
この曲を生で聴くのは昨年の秋山さん&広響に続いて2回目。同じ曲でも随分と演奏の仕方が違うのですね~。秋山さん&広響は4楽章をガリガリ鳴らす攻撃的なくらいの演奏をしていて、ああいう演奏もブラームスの性格の一面が出ているようでよかったけれど、個人的には今日のような演奏、つまりブラームスの心が内側から自然に滲んでくるような演奏の方が好みです。もともとハイティンク&COEのこの演奏がとてもとても好きなのですが、一見淡々としているようで、内側に激しさと厳しさを秘めていて。決して声高に自己主張しない、静かに滲む温かさ。そして晩秋の夕映えのような澄んだ美しさ。その音からブラームスの心を感じました。
ただ一昨年の秋にゲヴァントハウスとのコンビで聴いたときのような「100%ブラームス、ものすごいブラームス、ブラームス以外の何ものでもない」音に全身が包まれるような感覚は、今回はありませんでした。ブロムさん×ゲヴァントハウスの音色はやはりブラームスにとても合っていたのだなあということも再認識(もちろん私の勝手なブラームス像です)。

いずれにしても大好きなブラームスをブロムさんの指揮でもう一度聴くことができて嬉しかった 
そして演奏後の長い長い静寂には、いつものようにブロムさんの強い意志を感じました。それに完璧に応えた客席もブラボー。『静寂から音楽が生まれる』はシフの本のタイトルですが(ただいま図書館に予約中)、ブロムさんも静寂に強い想いがある方なのだろうなと感じる。ハイティンクやヤンソンスもそうですよね。ツィメルマンが音楽は音ではなく時間であると言ったように、耳から聴こえる音だけが音楽ではない。演奏の余韻を静かに味わう時間も音楽の一部なのだということを多くの人に知ってほしいと、そうブロムさんは思っていらっしゃるのではないかな。

さて、次の週末はモーツァルト尽くし!大ミサ曲の予習をしなきゃ!
N響がブロムさんによる解説をあげてくれました。ありがたい。しかしブロムさん、お声に張りもあって(音楽の話をされているとき本当に楽しそう)、92歳にはとてもとても見えません。今回も指揮の間中ずっと立っておられました。N響のtwitterによると、リハーサル中もずっと立っておられるそうです。



N響twitterより

Herbert Blomstedt Brahms Symphony No.3 [with commentary]

こんな動画を見つけました。最後の静寂はやっぱりそういうお気持ちからだったんですね

※ブラームスの交響曲第3番はシューマンへのオマージュだったのではないか?という千葉フィルの解説、よいなあ。

キラキラと輝くような第1主題の断片によって交響曲全体が回顧的に幕を閉じるが、それはこの交響曲第3番のみならずシューマンに対する回顧であったかもしれない。この交響曲の作曲時、ブラームスは50歳。シューマンが狂気の内にその生を終えた年齢をも既に超え、晩年を迎えようとする頃のことであった。

泣きそう。。。

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