風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

世界はみんなきみのもの ~『なやむ前のどんぶり君』 & 『ムーミン谷の彗星』

2012-07-30 21:28:43 | 



 自身とこの世のすべての間にあるものは「関係」でしかない。所有の概念は人類史と同じだけの年月をもって普遍化されてきた支配者たちの知恵であり、引きずられてきたひとつの疾病であり、人間であるが故の単純錯覚である。…
 人生は所有できない。
 その代わり、あらゆる関係を通じて君が生きて楽しむ時間である。
 世界は所有できない。
 しかし、関係を通じて、意識した大きさだけ君とつながるものである。

(明川哲也 『なやむ前のどんぶり君』)


 みんなは、身を乗り出して、ながめました。せまい谷間に、数知れぬほどたくさんの赤い石が、ほの暗い光の中にかがやいています。黒い宇宙にちらばった、いくつもの彗星のように……。
 「あれがみな、きみのものなの」
 と、スニフは、小声でいいました。
 スナフキンは、平気な顔で、
 「ぼくが、ここに住んでるうちはね。自分で、きれいだと思うものは、なんでもぼくのものさ。その気になれば、世界じゅうでもな」

(トーベ・ヤンソン 『ムーミン谷の彗星』)

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