風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

Inspire High 谷川俊太郎

2020-04-16 05:47:09 | 

【特別公開】谷川俊太郎 Inspire Highライブ配信セッション|#InspireHigh


3月1日のInspire Highライブセッションより。

谷川:(21歳の時に出版したデビュー作の『二十億光年の孤独』について)十代の終わり頃ってすごく不安な時期じゃないですか。これからどうすりゃいいんだ、みたいな。で、僕は自分がどういう地点に立ってるのかということを考えたんですね。自分は杉並区に住んでいて、杉並区は東京にあって、東京は日本にあって、日本はアジアにあって、アジアは地球のどこかにあって、っていう風にだんだん広げていったんですよ。そして結局宇宙に行っちゃったわけね。宇宙はその頃の常識では二十億光年という大きさだったんですよ。だから僕は二十億光年の大きさの宇宙の中にいるんだっていう感じがしたわけね。それであの詩が生まれたわけです。(最後のくしゃみという表現について)くしゃみでもする他しょうがないんじゃないかという気持ちだったんですよね。人間の中の孤独ならどうにかなるんだけど、宇宙の中の孤独じゃどうにもならないわけだから。

ここであげられた3つの詩の中では私は『うんち』の朗読を一番聴きたかったんですが笑、10代だったらやっぱり『二十億光年~』を選ぶのだろうなと。それはさておき。
上のお話を谷川さんはご自身の本の中でも仰っているんですが、へぇ、と思った部分なんです。
私は今もですが子供の頃は星空を眺めるのがすごく好きで、一晩中でも眺めていられる子供でした。子供なので「なんで好きなんだろう」とかはあまり考えなくて、ひたすら宇宙の中の自分を感じることが楽しくて。〇〇光年(という定義は知っていたので子供といっても小学生ですね)という気の遠くなるような時間の中にいる自分。そういう自分を感じると、わくわくもしたし、安心もした。そういう感覚は今もありますけど、当時はそれまで生きた時間よりも先の人生の方がずっと長かったですし、死もどこか現実味のないものでしたから、今と違いひたすら明るい気分で空を眺めていました。なので私の場合は、自分の存在から宇宙へと意識を広げていったという感覚はなく、その逆で、いま目の前にある宇宙の広さから自分の存在を思ったという流れだったのでした。
谷川さんとは意識の流れは逆だけど、最後のくしゃみの部分の感覚はよくわかる。「宇宙の中の自分」を思っているときはまだ心は宇宙の大きさの中にあるけれど、意識せずくしゃみをして我に返ったその自分は「日常の中の、社会の中の自分」。でもどちらも同じ自分で。
そして日常の中でも「宇宙の中の自分」を無意識に感じられる自分でいられたことで私はなんとか今日まで生きてこられた、ともいえるのでした。それが果たして自分にとって良いことだったのかどうかはわからないけれど、それにより私が救われてきたことは確か。その「宇宙」は私にとっては道端の花であり、草木であり、虫であり、動物であり、そして自分なのでありました。言い換えれば、自分という存在は道端の花であり、草木であり、虫であり、動物であり、宇宙なのでありました。そしてその世界は、谷川さんの詩と私が重なる場所なのでした。


質問:人とうまくやるためにどうしていますか?
谷川:その人を自分の基準で判断しないようにしてますね。その人にはその人の必然性があると思うから、その人の意味とかじゃなくて、その人が存在している存在自体を受け入れたいというふうに思って人と付き合ってますね。

私はこういう谷川さんがとても好きだけど、谷川さんのこういうところが佐野さんは我慢できなかったのだと思うな笑。
佐野さんは谷川さんに谷川さんの基準で判断して佐野さんの意味を受け止めてほしかったのではないかしら。人工的に喧嘩にもちこんで衝突した後は上機嫌だったというのもそういう理由ではないかしら、と遠い遠い部外者である私は想像するのである。
でも佐野さんは谷川さんとの離婚後に谷川さんの北軽井沢の別荘の隣に土地を購入して移住し、谷川さんが来ているか気にするそぶりを見せていたそうですAERA 2018年3月19日号)。人間の感情って面白いね。佐野さんの前夫との間のご子息の広瀬弦さんは、谷川さんや谷川さんのご子息の賢作さんと今も仲良しだとか。

谷川さんがラジオ作りについて仰っている「遠くから聞こえてくる微かな音に耳をすます」のが好きだという感覚、わかるなあ。今の時代は全てが見えすぎて&聞こえすぎて、だから本当に大切なものが見えにくく&聞こえにくくなってしまっているように感じられるから。谷川さんのラジオについての詩はこちら

谷川さんもまたすぐにお会いできると思っていたのになあ。まさか世界がこんなことになろうとは。。。


谷川さん、お元気そうで安心しました!賢作さん、ありがとう!その2も楽しみにしています!
それにしても谷川さんの朗読はほんといい。。。。。。

★オマケ★
先日うちの近所の散歩コースで撮ったお花たちです








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