風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

三月大歌舞伎 昼の部 @歌舞伎座(3月27日)

2015-03-29 23:06:37 | 歌舞伎





仁左衛門さん・・・っっっ


な千穐楽に行ってまいりました。
いやもう本当に、一に仁左さま、二に仁左さま、三に仁左さま。。。。。。。。

素晴らしかったです。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


※一階五列目中央


【加茂堤】
そうだった、菊ちゃんは私が一階席で目が合う(と錯覚する)役者、突出No.1なのであった。。
困るのよ~私は菊ちゃんを見たいのよ~なのにそんなにまっすぐ見られるとがっつり見返せないじゃないのさ~~~~~!!

と、爽やか菊ちゃん視線に(一人勝手に一方的に)耐えつつ観劇した加茂堤。
だけでなく、今日の昼の部全般。この後ほぼ仁左さまの感想しか書かないので今書いておきますけど、夜の部を観た後だからなのか、前回(中日)から若者達が成長したのか、一階席効果なのか、千穐楽効果なのか、あるいはその全ての理由なのかはわかりませんが、今日はみんなとても良かったです。

壱太郎(苅屋姫)&萬太郎(親王)も、恋し合ってるようには相変わらず見えなかったけど、前回よりだいぶ風情が出ていたよ^^

そして菊之助(桜丸)も。
これはあの夜の部の桜丸切腹を観た後だから余計かもしれないけど、もう私の中では桜丸=菊ちゃん
深く考えずに大事な儀式の最中に逢引の場を設定しちゃう軽率さもちゃんとあって、でも若者二人より年上な世慣れ感もあり、まだまだ自分達も新婚さんな若々しさもありつつ、散る桜の凛とした儚い美しさもあって。
今の菊ちゃんの桜丸を通しで観ることができて、本当によかったと思う。


【筆法伝授】
清風という言葉がございますが・・・・・
これは仁左さまのためにある言葉だったんですね!
伝授の場。
まわり舞台が動きはじめると、まるで神社の結界に入って行くように厳かな空気とぴんと張りつめた緊張感が漂いはじめて。
そして仁左衛門さんが登場した瞬間に舞台と客席の一切の空気の澱みが消えて、澄んだ清廉な空気が場を支配するのをリアルに体感いたしました・・・(決して舞台に焚かれたお香効果じゃないですからっ)。
あんなに沢山の人間が客席にいる歌舞伎座に、どうしてあんな空気を作り出せるのでしょう。
白木の机と、しめ縄の紙垂と、菅丞相の衣装の白、香の香り。でもそれらを単なる舞台装置を超えて真に神聖なものにしていたのは、まぎれもなく仁左衛門さんの菅丞相でした。

「いづれも早春の心を詠みかなへり」で、少し上を見て、早い春を感じている表情の仁左さま。
早春を感じさせてくださるのはあなたですっ

「見事、見事~~~」
見事なのはあなたですっ

後ろの席のおじいさま。
私が仁左衛門さんの台詞回しや演技(という言葉さえ違和感があるそのものの菅丞相)に「うわぁ~~~」ってなってると後ろで「うん」「時代だねぇ」「最高だ」と同じタイミングで呟くので(奥様にはたしなめられていたが)、心の中でそのたびに「ですよね!!!」と全力で返しておりました。
いつもは殺意を感じる私語も、今回は合の手効果で感動倍増。
今日は客席の集中力も最高でした。お客さんもGJ!

この筆法伝授だけでもう一万八千円の価値十分ある!!

と思ったら、きたよきたよ道明寺~~~(>_<)


【道明寺】
筆法伝授に続き、もうなんて言っていいのか・・・言葉にできない・・・・・。
仁左衛門さんの舞台をストーカーのように観てきた私ですけれど、今日の舞台、一生の思い出にいたします。。(吉田屋とともに)

素晴らしすぎてほんと感想かけない。でも書く。

先日も書きましたが、仁左衛門さんの菅丞相は人間なのに神様で、神様なのに人間で。いつか神様になる人の、人間だった頃の物語そのもので。
木像verの仁左衛門さんも可愛らしいけど、本物の道真として登場した後は、もう、、、
マークを使う気にもならない、軽すぎて(使ってるけど)・・・。
下手の菊ちゃん(輝国)のすっきりした空気と、中央の秀太郎さん(覚寿)の温かな空気と、上手の仁左衛門さんの高貴で深くて柔らかで凛とした静謐な空気(この形容でも足りないくらいなの~~~)。
全く違う三つの空気が舞台上に同時にあって。
歌舞伎って素晴らしいね!!!と、歌舞伎に心の中で拍手喝采しておりました。

生みの親と育ての親。その二人に大切に愛されている女の子。
道真が育ての親っていうところがまた泣けるのよねぇ。。。男の子じゃなく姫というところも。。。
小さな可愛らしい女の子が、まだ若い道真夫婦のところにやってきたんだろうな、それを実の子と同じようにいっぱいの愛情で夫婦は育てたんだろうな、とそんな時間や光景を想像しちゃって・・・。
そしてこの夜明けの今が今生の別れなんだな・・・と・・・・・・。

最後の花道の仁左衛門さんの立ち姿。姫を振り返る前、立ち止まるとき。幕見席からはついオペラグラスで顔ばかり見ちゃうのでわからなかったけれど、横から見ると、ただ立っているだけであんなに多くのものを物語っていたんですね・・・(二幕のラストでも感じましたが)。悲しみと、菅丞相という人間の潔癖なほどの誠実さと品格と、優しさと愛情と。。。チケットをとった時はもっと花道の傍がよかったなとちょっと思ったんですが、あの立ち姿を見て、この距離でよかったなと感じました。今月の舞台、二つの角度から見ることができてよかったです。
そして、それまで彼がひたすら抑えていた感情が溢れ出るあの瞬間・・・(にざさ~ん
義太夫の美しさそのままの、美しい美しいラスト。
道明寺という名前が胸に沁みます。。。

言葉にすればするほど舞台の素晴らしさから遠ざかってしまいそうでジレンマ。
本当は思い出すと言葉はなくて、ただただあの場所にあった純粋で美しい時間と空気とに胸が苦しくなって、同時に清らかな気持ちになる、そんな舞台でした。
今月は天神さまも歌舞伎座にいらしていたと思うな。

最後の幕外の菊ちゃんの引っ込みも、こうして次の世代へバトンを渡してゆくんですね、と思いながら観ていました。
最後まで、いい舞台だった。

上村以和於さんがHPで「周囲の配役のことも含めて、もうこれだけの『道明寺』は叉と言っては見られまい、と思わないわけに行かない。将来のことは予測できないにせよだ。心ある人は何を差し喰っても見ることをお勧めする」と書かれていましたが、本当にそう感じさせられる舞台でした。
・・・でもでもでも・・・こんなにこんなに素晴らしい菅丞相がこれで見納めだなんてありえない!ともどうしても思ってしまうんです。。。仁左衛門さん、どうかどうか100まで長生きして、もう一度あの菅丞相に会わせてください。。。

あ、芝雀さんが五代目中村雀右衛門を襲名されるそうですね。
おめでとうございます(*^_^*)!!



今月は仁左衛門さんが若い世代に見せた舞台でもあったのだな、と感じたチラシ。


観劇前の腹ごしらえ、という名の朝ごはん。
歌舞伎茶屋のチーズパンと、エスカレーター横のお店のコーヒー。と、祖母へのお土産に買った娘道成寺のKABUKIZAゴーフル(450円。お安い~)。

※歌舞伎美人:仁左衛門が太宰府天満宮で「三月大歌舞伎」成功祈願

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