個人というものを出発点に考えていくと、我々は知らず知らずにひとつのタイプを創りあげてしまうことになる。一方タイプというところから考えていくと今度は何も創りだせない――まったく何ひとつ。たぶんそれは人というものが見かけより異常であるせいだろう。我々は他人や自分自身に対してかぶっている都合の良い仮面の裏では、どうして風変わりでねじくれているのだ。
(スコット・フィッツジェラルド『リッチ・ボーイ(金持の青年)』/村上春樹訳より)
個人というものを出発点に考えていくと、我々は知らず知らずにひとつのタイプを創りあげてしまうことになる。一方タイプというところから考えていくと今度は何も創りだせない――まったく何ひとつ。たぶんそれは人というものが見かけより異常であるせいだろう。我々は他人や自分自身に対してかぶっている都合の良い仮面の裏では、どうして風変わりでねじくれているのだ。
(スコット・フィッツジェラルド『リッチ・ボーイ(金持の青年)』/村上春樹訳より)