『あったことのないきみ』
どこかがいこくのいなかまち
りょうがわに にたようないえがつづいているみち
そこにおとこのこがひとりたってる
それはあったことのないきみ
いえにはハハとチチがいるけれど
いまはそのみちのうえでひとりぼっち
わきにいっさつのほんをかかえて
あったことのないきみは まるでぼくのようだ
きみはどこへもいきたくないとおもっている
いつまでもここにいたいとおもっている
しぬまでいまのじぶんでいたいとおもっている
あしもとでこいぬがしっぽをふってる
いつかよんだ ものがたりのなかのきみ
きみはもうおとなになっておじいさんになって
もしかするともうしんでいる それなのに
いつまでもいつまでもきみは ぼくのようだ