特殊清掃「戦う男たち」

自殺・孤独死・事故死・殺人・焼死・溺死・ 飛び込み・・・遺体処置から特殊清掃・撤去・遺品処理・整理まで施行する男たち

夜の出来事(前編)

2007-04-07 08:59:46 | Weblog
人のタイプには色々な分け方がある。
生年月日・星座・血液型etc・・・その一つに「朝型or夜型」というものがある。

私は、どちらかと言うと朝型の人間だと思う。
朝は早くから目が覚める。
覚醒には目覚時計は必要なく、起きたい時刻がくる前に必ず目が覚める。
目覚めもクリア。

逆に、夜はやたらと早い時間から眠くなる。
いい大人なのに、0:00迄起きていられることは、年に数えられる程度。


世の中には、時間がゆるすかぎり爆睡寝坊できる人もいるみたいだけど、私はそれができない。
数少ない貴重な休日、「思いっ切り寝坊するぞ!」と意気込んでいても、いつも通り朝早くから目が覚めてしまう。
これがまたストレス。


そんな私には、昼間に睡魔が襲ってくる。
特に、椅子に腰をかけている状態のとき。
電車・車・どこかの待合室etc。
さすがに、業務中に眠くなることはないけど。
まぁ、特掃作業中に眠くなるくらいに神経がズ太ければ、こんな苦労はしてないだろうね。

ずっと以前、睡眠薬を服用していた時期もある。
熟睡を期待して飲んでいたのに、効いているのかいないのか分からないくらいのもので、継続して服用するのがバカバカしくなってやめた。
また、頭に電極を着けて脳波長を操作する「睡眠導入器」なるものを使っていたこともある。
これもまた、効果を自覚できないまま自然消滅した。

私は、多分、不眠症なんだと思う。
しかも長年に渡る重症。
何の用もないのに、夜中に何度も目が覚めて寝返りをうつ。
「時間があるときに寝とかなきゃ、あとがツラくなる」
等と言った脅迫観念みたいなものさえある。
夜に熟睡できないことは、私にとってはなかなかツラいことなのである。

不眠症の私にとっては、それに輪を掛けるような事情がある。
この仕事では、夜中の電話に叩き起こされることが珍しくないのだ。
しかも、電話の内容は心臓がドキドキしてしまうようなことがほとんど。
とても、熟睡なんかしてられない。
だいたいの電話は話が終わってからも目が冴えまくって、なかなか再入眠することができなくなる。
私の仕事を考えると、なんとなく想像できるでしょ?

ただ、夜中の電話で出動を要するのは「遺体搬送業務(病院下げ)」くらい。
あとのほとんどは、電話相談だけ受け付けておいて、実際の稼働・作業は日中の時間に行う。

遺体搬送の依頼が入ると、直ちに跳び起きて出動しなければならない。
冬の寒い夜も夏の蒸し暑い夜も、夜中も明け方も関係なく。

いつもはたまにしか入ってこない遺体搬送業務が、たまたま連夜になることがある。
これが結構キツい!
夜中に作業をやったって、昼間は昼間で仕事がある。
だから、ゆっくり寝ている時間もない。
たった二夜でも、稼働が続くとヘトヘト。
身体が妙な熱を帯びてくると同時に、朝・昼・夕の感覚が鈍くなってくる。
そして、道路のアスファルトが緑色に見えてくる。

そんな時に気をつけなければならないのは車の運転。
睡魔に襲われたら無理をせず、車をとめて仮眠をとるようにしている。
ただ、遺体搬送車の場合は、落ち着いて駐車しておけるところがなかなかないので、結局は会社まで戻ることになるのだが。
いくら遺体を積んでないからと言っても、遺体搬送車って一般の人からすると不気味でしょ?

また、夜中の遺体搬送には遺族が同乗しないことも多く、遺体と静かなドライブになることがある。
人気のない暗い街を遺体を乗せて走るビミョーな感覚は、うまく表現できない。
世の中に、自分と遺体の二人きりになったような変な気分で、ちょっと心細くなる。
車内の雰囲気を勝手に煮詰まらせる私は、一般のタクシードライバーが客に話し掛けるように、遺体に何かを話し掛けそうになる。

「お客さん、どちらまで?」
「天国まで」
「天国ですかぁ、いいですねぇ」
「頑張って生きてきましたからね」
「私も、いつかは行きたいもんです」
「じゃ、頑張って生きて下さい」
「そうですね」

私には霊感がないことは、既に紹介した通り。
しかし、その辺のところは、半信半疑で意識していることでもある。
霊感って、花粉症のようにある日突然にふりかかってくるものかもしれないし。

ある日の深夜、いつもの様に浅い眠りについていた。
そして、何かの拍子に寝返りをうったとき、顔に何か感じるモノがあった。

「・・・ん~?」
寝ボケ半分で目を開けてみた。
すると、私の顔には何かが覆い被さっていた。

「うあ゛っ!」
驚いた私は、とっさにそれを掴み上げた。
そして、その正体を見て更に仰天!

ナントそれは人間の手だったのだ。

つづく





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