特殊清掃「戦う男たち」

自殺・孤独死・事故死・殺人・焼死・溺死・ 飛び込み・・・遺体処置から特殊清掃・撤去・遺品処理・整理まで施行する男たち

タバコの煙

2007-04-19 07:26:40 | Weblog
嗜好品の代表格と言えば、酒・タバコだろう。
「百薬の長」
と言われる酒に対して
「百害あって一利なし」
と言われる?タバコ。
そんなタバコは、最近では肩身が狭くなってきているのではないだろうか。

禁煙スペースの増加・喫煙スペースの制限・社会の分煙化は、私にとっては歓迎できる傾向。
私は、タバコは吸わないので。
禁煙した訳ではなく、元から吸わないのだ。
それでも、喫煙者が身近にいる以上は、副流煙による間接喫煙を強いられる。
まったく、いい迷惑。
最低のマナーとして、携帯灰皿くらいは使ってもらいたいものだ。

喫煙率は、男性は10人中4人くらいで、女性は10人中1人くらいらしい。
身の回りを見渡すと、喫煙者はもっと多い気がするけど、数字にしてみると意外と少ない。
また、肺癌を患う確率も、喫煙者は非喫煙者の3倍らしい。
「たった3倍?少ないんじゃないの?」
と思ってしまう。

今では、高校生がタバコを吸っている姿を見かけるのは珍しいことではない。
更に、中学生らしき子供達がタバコを吸っている姿もチラホラと見かけるようになってきた。
しかも、昔のように〝隠れてコソコソ〟ではなく、個人の自由と権利を誇示するかのように堂々と。
そんな子供達を見ていると、この社会の将来が危ぶまれる。
ただ、この状態は一部のコミュニティーに発生している問題でしかない。
〝いい学校〟の子供達は違う。
社会の階層ピラミッドは、子供の世代から着々と出来上がってきているのだ。

ところで、そんな状態を放置し、甘んじて受け入れている大人達や社会に問題はないのだろうか。
え?私?
中高生の喫煙を見かけて注意してるかって?
・・・見て見ぬフリ。←ダメな大人の一員。

ちょっと脱線。
タバコのニオイが嫌いな私、子供の頃は変なニオイが好きだった。
まず一つ目は、タクシーの排気ガス。
一般のタクシーって、ガソリンではなくガスを燃料としているので、その排気ガスのニオイは独特。
そのマイルドなニオイが私の臭覚とマッチして、タクシーを見かけるとマフラーに顔を近づけていたものだった。

二つ目は、マニキュア・除光液。
母親の鏡台にあったのを、たまたま嗅いでみたのだ。
脳に浸みるようなそのニオイも格別で、やみつきになってしまった。
まったく、バカな子供でしょ?
思い出すと、恐ろしいし気持ち悪い。
ちなみに、今はその癖はない。

喫煙者ではない私でも、酒の席などで人にすすめられて、興味本位に何度か吸ったことはある。
肺の中に、モノ凄く汚いものを入れている気分がして不快。
しかも、口の中の煙(ヤニ)臭さがいつまでも失くならず、酒や食べ物がまずくなる。
とても、タバコを覚えようなんて気は起きなかった。

タバコって、そんなに旨いのだろうか。

私の回りでは、禁煙チャレンジの成功率は低い。
チャレンジ中の人を見ていると、非常にツラそうだ。
特に、一種の禁断症状がでてくる断煙3~4日目がキツいらしい。
これを乗り切れるかどうかで、禁煙の成否がほぼ決定するとのこと。
ただ、禁煙中の人が苦しんでいるのを見ると、
「身体にはよくても、精神には悪そうだね」
「〝病は気から〟とも言うし、そんなにツラいんだったら吸えば?」
と、私は悪魔のように囁くのである。

私の場合は、もっと身体に悪そうなものを吸っている。
そう、人間の腐乱臭・腐敗ガスだ。
これは、身体に悪いばかりでなく、精神にまで悪影響を及ぼすことがある。
喫煙者の肺が真っ黒であるように、私の精神も真っ黒になるのだ。
しかし、悲しいかな、こちらも止めたくても止められないんだよね。

ある家での納棺式。
私は、故人が安置されている部屋に通された。
襖を開けると、部屋中が何かの煙で靄っていた。
そのニオイは明らかにタバコ。
線香の煙が部屋中に充満しているのはよくあることだけど、タバコのそれは珍しかった。

よく見ると、故人の傍らにある香炉(線香を立てる灰鉢)には、所狭しと火のついたタバコが立てられており、それがモウモウと煙を上げていた。
故人が愛煙家であったことは一目瞭然。
面布(遺体の顔にかける白布)を取ると、単に眠っているだけのような初老の男性ががいた。
故人に対する遺族の愛情が部屋に充満する煙になって現れているようで、ゴホゴホとむせ返りながらも何とも微笑ましく思えた。

「お父さん、もう我慢しなくていいんだよ」
「天国に行って好きなだけ吸ってね」
多分、晩年の故人は、タバコを満足に吸えなかったのだろう。
案の定、柩にはたくさんのタバコが入れられた。

「人生は夢幻・・・過ぎてみればはかないもんだなぁ」
翌日には灰になる故人の身体と、立ち上っては消えていくタバコの煙を見ながら、そう思った。





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