ちょいスピでセラピー的なKizukiの日々

色んな世の中の出来事、セラピーなどから気付きを得て、ありのままの自分に還ることを目指して生きてます。

仕事が生きがい

2015-10-29 09:04:34 | 身辺雑事
昨日からを引きずって、という感じのお話なんですが。
あるとき同世代のバリバリのビジネスマンをやっている知り合いと話していたときに何の拍子でそういう話になったのかは忘れてしまいましたが、私が何か親の発言、ものの考え方のことで愚痴ったんだったかなぁ、その方はこう言ったのでした。
「仕方がないって、えっちゃん。だって俺らの親の時代っていうのは仕事が生きがいだったんだから。そこから派生するものの考え方を否定しちゃったら彼らにはもう何にも残らないんだよ。
俺らの世代はもう仕事だけが生きがいじゃないだろ。
他にもいろんな楽しみがあるしな。」



この発言を聞いて、私は親が歩んできた「仕事ひとすじ」の軌跡に思いを馳せました。
私の親は伊勢湾台風という当時ではものすごく大きな被害をもたらした台風が直撃する地域に住んでいて住むところを失い、親戚を頼って愛知から岐阜に移り住んできました。
当時1歳の私を抱えて。
不幸中の幸いなことに彼らが愛知で住んでいた家は借家であり持ち家ではありませんでした。
ですから家は流されたうえにローンだけは残ったという最悪の事態だけは免れることができたのです。
しかし見知らぬ土地で彼らは1から出直さなければならなかったことは間違いありません。



彼らは小さな家を借りて、愛知に住んでいたとき、お隣がウナギ屋さんだったことから彼らに「引っ越すなら」と土産にもらった秘伝のタレのレシピだけを唯一の財産としてそのタレを使った串カツの店を始めました。
ほんの15席ほどのカウンターがメインのその店はよく流行りました。
というか、ポスト・ウォーというにはちょっと遅すぎるかもしれませんが、まさにそんな感じで戦後の闇市に少しおいしそうなものがあれば大賑わいを見せたように男たちは空腹を満たすだけの食事ではなくちょっといっぱい引っ掛けられる時代がやってきたのだ、ということに狂喜し、串カツ片手に大いに飲んで行ったのです。
いちおう店は16時に開店し、22時くらいには閉めようかということらしかったのですが、開けていれば開けているぶんだけお客さんはやってきてくれた時代だったので、22時が23時になり、0時になり、1時になりました。
16時までだって遊んでいるわけではありません。
朝から仕込みをやっているわけです。
夜中の1時まで店をあけて働き、年中無休。
そんななかで赤子を背中におんぶしながら店を切り盛りした母はスゴイと思います。
私なら背中に3、4kgのおもりをつけて朝から夜中までなんかとうてい働けません。



私が小学生になると朝7時に私を起こすために、それ以前に起きて朝食の準備をする母は考えてみれば睡眠時間は当時3,4時間だったのではないでしょうか。
それが何年にも渡って続く・・・。
ご飯も忙しくてろくに食べられない。
そしてついに母は私が小学校4年のときに体を壊しました。
慢性膵炎です。
それから父も感じ入ることがあったのか、多少売上を逃してしまっても体を壊してしまってはしょうがないということで自分たちの食事をちゃんととる時間だけは設けるようになり、店の閉店時間も23時になりました。
休みも週に1日はもうけるようになりました。
でもそれだってすごいですよね。
私が高校か大学になってからぐらいだったかなぁ、閉店時間を21時30分にしたのは。
とにかく彼らはそれでずっとつい最近2か月前まで働きづめに働いたわけです。



なぜ彼らがそれほどまでに働くことが出来たか、というと夢があったからです。
無一文で岐阜にやってきて、自分たちの持ち家をもつ、という夢が。
「持つ」ことまでの到達感が夢なんです。
そこを拠点としてこういう「暮らし」がしたい、ではなく。
(実際彼らは今、2軒の家を持っているわけですが、1軒は全く活用されず、おいおいどうすんだよ、って感じになってます。)
今でもマイホームを建てるということは多くの人にとって人生で最大の夢であることは多いかと思います。
けれど私の親の世代にとっての「マイホーム」は単なる夢であるだけではなく、まさしく戦後から頑張ってきて自分たちの苦労が報われたという“象徴”でもありました。
だから何の疑問も持つことはなくそこは強固に揺るぎないものがあったと思いますし、実際に頑張れば頑張っただけ貯金はたまっていったと思いますので、やりがいが“目に見える”幸せな時代だったといえるでしょう。



そういう時代に生きた人たちが「仕事が人生で最大の生きがい」になってしまっても確かにしょうがないと思います。
“しょうがない”というような後ろ向きで吐き捨てるような納得の仕方では許されない、もっともっと前向きでそれは称賛されるべきものであるかもしれません。
それどころか!
私はそういう時代にあり、そういう考え方をしてきた親に育てられてきたこともあり、私自身が「仕事が人生で最大の生きがい」であることのほうが幸せな人生に違いない、と信じて生きてきました。
仕事は生活費を稼ぎ出すものと割り切ってアフター5や週末に自分が本当にやりたいことはやる、というような割り切り方は私には出来ませんでした。
だから冒頭に戻りますが、同世代の人が、
「親の世代と自分たち(のものの考え方)を比べたって仕方がないって。俺たちはもう仕事だけがすべてなんて思っちゃ生きていないんだしさ。」
という発言には私なりにショックを受けたのでした。
え・・?
私は思ってますけど、って。
それにその人自身がたいそうなビジネスマンなんですよ。
朝から晩まで仕事、仕事の人。
それでもそこに体をとられている時間と実際の生きがいは全然別モノだというのか、ということにも少し驚きを隠せなかったのです。



確かに親の世代は仕事が生きがいであることが幸福な面もあり、不幸な面もあったと思います。
幸福な面は先述したように「頑張れば頑張ったぶん、その反映がみられる状況にあったということ」また、「その頑張り方も単純なものですぐに誰もがわかるような頑張り方であればよかった」ということ。
不幸な面とは「時間的に朝から晩まで仕事漬けの日々になりがちで、息を抜くヒマもとれなかった」ということ。
私はさすがに彼らの時代のようにいくら仕事が好きといっても朝から晩まで休みの日もなく働くというのは御免こうむりたいですが、「好きなことを仕事にしたい」「好きなことを趣味と割り切るのではなくて、そこからお金を得る方法を考えて生きていきたい」わけです。



現代では「仕事が生きがい」ということは「恥ずかしいこと」になるのかもしれません。
え、そんなことしか生きがいがないの、あなたって、みたいにバカにされることにさえなっているのかもしれません。
でも何が生きがいであったってそれは人それぞれでいいじゃないですかねぇ。
そんなものにトレンドなんてなくても。
ただ時代の変遷によって生きがいにも色んなバリエーションが生まれ多様化していることは間違いないと思います。
先日はたまたまテレビで見ていたある弁護士の奥さまが「私の趣味は主人です。」と言っておられました。
それもまたよし、ですよね。



今日は私自身が「仕事が生きがい」であると思っているにもかかわらず、最近ちょっと心境に変化が生まれたということまでを書きたいと思っていたのですが、ちょっと紙面が尽きたようです。
この件に関してはまた明日にしようと思います。
明日も読んでね。





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