団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

オリンピック2020尻が痛い

2019年12月05日 | Weblog

  いつの頃からか、妻と私のいくつかの感覚が入れ替わっている。以前冬のベッドの布団の中の湯たんぽ代わりを務められたほど足が温かかった。今では私の足は一日中冷える。足裏に最初はスポンジを貼り付けられた感じがあった。今ではアルミ箔を貼ってあるように感じる。どんな中敷きを入れても、足は冷たい。加えてアルミ箔感は冷たい氷の上を歩いているようだ。

 睡眠にも変化が現れている。バタンキューと布団に入れば、即寝つけた私は、今では妻の後塵を拝する。妻はいつ寝るのかと疑るほど睡眠をとらなくても生きていられる人だった。今では逆転。妻のイビキに睡眠を邪魔されないように一刻も妻より早く寝ようと焦る。焦れば焦るほど遅れを取る。やっと寝つく。午前1時半から2時の間に目が覚める。隣の妻はスヤスヤ。ここからまた眠りを求める苦難が始まる。居間の時計の15分おきになる鐘の音が数分間隔のように短じかく感じる。なんとか寝つけたと思うと5時にラジオが続いてけたたましい目覚まし時計が鳴り始める。

 変わらないこともある。妻は寝ていても声をかけると何時であろうとスッと目を開け、答えてくれる。どんなに疲れていても前の日に深酒しても5時にパッと気持ちいい程パシッとベッドから出てゆく。私は朝が相変わらず弱い。

 電車で一緒に出かける時も以前と変わらないことがある。発車してすぐ私は尻が痛くなる。妻はまったくそういうそぶりを見せない。聞くと「痛くない」と言う。私は心臓の手術を受けてから長く座っていられなくなった。だからパソコンを使う時は、バランスボールがイス代わり。車にはテンピュールの運転席用パット、テレビを観る時はテンピュールの座布団を使う。家では何とかそうやって尻が痛くなるのを防げる。以前電車に乗る時に安いクッションを持参したが、すでに3個置き忘れてきた。だから使わないでいる。

 来年2020年。いよいよオリンピックが開催される。国立競技場も完成した。そして有明体操競技場も完成。ところがこの競技場観客席は木製である。私の薄い尻にとって木のベンチは天敵なのだ。私は3分と座っていられない。ベオグラードやロンドンの公園で一日中、固い木や鋳物でできたベンチで過ごす老人を数多く見かけた。私も歳を取ったらあのような老後を過ごすのかなと思った。現実ではとても無理。あの老人たちの尻は、いったいどういう尻なのだろうか。鋳物のベンチなど1分も座っていられない。電車のシートは、スプリング式で緩衝材も入って厚手の布で覆われている。それでも私の尻は、拒否反応を起こす。私だけではなさそうだ。お披露目された有明体操競技場で木製の座席に座った記者や関係者の多くが、見た目の良さと裏腹に座るとお尻が痛いと訴えた。見たところ会場に座っていた関係者とやらは、皆さんお若い。若者のお尻が痛いと言うのだから、相当に固い座席なのだろう。私は到底会場で観戦など不可能である。

  東京五輪・パラリンピックは、環境に優しいオリンピックにしようとしている。国立競技場も木を多用した。見た目は好評かもしれないが、尻には決して優しくないようだ。私はいち早く会場での観戦は諦めた。代わりに妻にねだって、大型の4kテレビを買ってもらった。家で外に忘れてくる心配のないテンピュールの座布団に薄い尻を任せ観戦予定である。すでにラグビーワールドカップで尻の快適さと画面の臨場感は、実証済みである。

  観客の尻の心配ばかりではない。今年のような猛暑だったら参加する選手に影響はないのだろうか。マラソンと競歩が札幌に会場を変更された。その変更の過程をみていると、オリンピック開催の裏には、尻の皮より面の皮が厚い有象無象が暗躍しているように思えて仕方がない。

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