8月11日午後6時45分頃、太平洋から上る満月を期せずして見ることができた。今年の元旦に初日の出を拝んだ同じ場所だった。美しい、と見とれた。満月でいつもより大きかった。サーモンピンクがかった幻想的な色で神々しかった。月の地面まで見えるようだった。その夜テレビのニュースで“スーパー満月”とアナウンサーが言っていた。スーパーという言葉は、最近使い古された気がしていたが、あの月をスーパー以外に表現できない、と変に納得した。
学生だった時、thatの講義で英語教師が「月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」(詠み人知らず)を引用した。月をmoonとmonthに分けて読むと理解しやすいと文章にやたら出てきたthatを読み分ける方法を解説した。8回も“月”が出てくる。「月々(month month)に月(moon)見る月(month)は多けれど月(moon)見る月(month)はこの月(month)の月(moon)」よほど印象深かったのか難しいthatの用法よりこの歌のほうをしっかり覚えている。
(参考)thatの授業に出てきた例文はthatが4つ続いた難解な文章だった。:The teacher said that that that that girl wrote was wrong.
まさに詠われている通り、この月(month)つまり8月(month)の月(moon)は最高であった。月が地球に一年で一番近づく日なので、見える月の大きさも最大になるという。
台風11号は日本全土に被害をもたらした。猛暑が続きその後での台風襲来だった。自然に逆らえないのは分かっているが、何とか被害を出さないようにできないものかと心を痛めた。私が住む町は、台風の進路から大きくそれた。雨は長時間強く降り、山からの土砂や木々の枝や葉が道路に流れ出た。そんな台風一過のスーパー満月であった。水平線から姿を現した満月も10分も経たずに厚い雲にその美しい姿を隠されてしまった。短時間であったが、スーパー満月を見ることができ元気が出た。