ロンドン五輪での女性選手チームの活躍は、目覚しかった。しかしまだまだ女のクセにとか男のクセには根強く日本の社会にはびこっている。
去年、北海道札幌白石署管内で、追い越しされた女性の車を追いかけて、停車させ「女のくせに男をなめんなよ」と24歳妊娠4ヶ月の女性に土下座させ、腹や胸を殴る蹴るの暴行を加えた田村智容疑者(44歳)が傷害容疑で逮捕された事件があった。さいわい胎児に影響はなかったそうだ。被害女性がすでに無事出産されたことを願うばかりである。それにしても報道は一過性すぎる。ニュースを読者に知らせるならもっと起承転結を心掛けてほしいものである。
テレビの特別番組「警察24時間」の類いが好きで時々観る。くだらい番組が多い中、芸能人が出てこない、普通の人たちだけの記録は落ち着いて観られる。ある番組で女性警官密着のドキュメントが放送された。同じ警察官でも女性警察官だとわかると、途端に言うことを聞かなくなる違反を犯した男性が多いことを知らされた。青森の女性白バイ警官の仕事をカメラが追った。踏み切りの一旦停止違反で60歳代の男性が追尾され停止させられた。はじめはヘルメットで男性、女性警官かの区別がつかない。女性警官がヘルメットを脱ぐと途端に男性が豹変した。男性は、女性警官をまったく相手にしない。忙しいからと女性警官の制止を振り切って、車を発車させた。ここで男性は本来なら業務執行妨害罪を積み重ねたことになる。女性警官は追跡して男性の配達先でやっと違反切符を切ることが出来た。「女のくせに」の態度が見え見えだった。
日本には、まだまだこのような醜い男尊女卑の考えがある。いや、世界中にある。私が暮らした国のどこにもあった。発展が遅れている国ほど、男尊女卑の傾向が強かった。アマゾネスの国は、ひとつもなかった。主夫という立場で、外務省の医務官の妻に同行して14年間で5カ国の大使館を渡り歩いた。私は「男のクセに」と日本人にも現地の人にも言われ見下された経験がある。男からも女からも、そうされた。私の心のしこりをほどいてくれた詩がある。長いが全文を載せる。私の気持ちを見事に代弁してくれている。
安積仰也著『夢をよじ登る』朝日クリエ P146“女性賛歌”より抜粋
『ないしょだけど
はずかしいけど
今日白状するよ
ぼくね、女性が大(だーい)好きです
子供の頃からずーっと今日まで
女性が大(だーい)好きでした
女性なしには生きてこられなかったと思うよ
お母さん、大(だーい)好き
お父さん、大(だーい)きらい(ゴメン!)
お姉さん、大(だーい)好き
弟、大(だーい)きらい(ゴメン!)
女って心がやさしいの
女って、よーく
いっしょにお話してくれるの
よーく気がきいて、気がついて
あたたかーいの
ぼくがくしゃみをすると
さっとティッシューをさし出してくれる
そんな男みたことない
(映画の中のチャップリンを除いて)
ぱーっと辺りを明るくする
花一輪のように
女って不思議な存在
みーんなを包みこみ楽しくさせる
平和の神様です
男っていばるよね
男って命令するのが好きでしょ
自分のことばかり考えて
何かというと人を馬鹿にし
褒めことばなど全くご存知ないみたい
家と子供のことは女まかせ
言いつめられると「ウルサイ!」と言い
抜け道がないとゲンコツを使う
自分の上司にはペコペコし
弱い人にはいばるいばる
思うように行かないと
当たりちらしてうっぷんばらし
ユーモア皆無で
こんなの聞いたらおこるおこる
顔を真っ赤にしておこるよ
一緒に笑えばよいのに
牛と鶏だけじゃない
東大出の秀才
代議士、大臣、官僚
警察にやくざ
モーケッコウ!
ないしょだけど
今日男のヒミツ
教えてあげるね
男って、仕事仕事って言うでしょう
あれ「ウ・ソ」です
家庭サービスから逃げる
都合のよい言い訳です
ないしょだけど
本当のこと言っちゃうね
はずかしいけど
日本男児って
まだ赤ちゃんなの
ないしょだけど
はずかしいけど
今日白状するよ
ぼく女性が大(だーい)好きです』