団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

マイクロソフトの汚いトリック

2016年05月26日 | Weblog

 24日の朝、火曜日なのでブログを書き始めた。このところパソコンを起動させると、「ウインドウズ10への更新の準備ができました」の表示が出る。私にとってパソコンはブラックボックスそのものである。それでも今ではなくてはならない物だ。パソコンがない生活が考えられないほど私の生活の一部となっている。使っているのはソニーのバイオのデスクトップ型。ソニーはパソコン事業から撤退した。バイオのノート型は別会社が引き継いで生産されているようだ。デスクトップ型はもう手に入れることができない。いろいろなパソコンを使ってきたが、バイオが一番使い勝手が良い。あちこち不具合が生じてきているが、パソコン出張修理相談指導をしてくれる会社に頼んでその都度対応している。

 去年「ウインドウズ10への更新」の表示について馴染みになった出張社員に相談した。彼は「私が呼び出されるのはウインドウズ10に更新してからパソコンがおかしいというケースが増えています。現在のウインドウズ8.1に不満をお持ちでないなら更新しないことをお勧めします」 私は彼に絶大な信頼をおいている。「ウインドウズ10への更新」の表示が飛び出すたびに枠の右上の赤い「×」をちゅうちょなくクリックしていた。

 24日の朝、またまた「ウインドウズ10への更新」の表示が出た。「しつこいな」と右上の赤い「×」にマウスの矢印を合わせて「こやつめ」と力一杯クリックした。力を入れたのがいけなかったのか、画面が消え青い地に白い文字で「更新を開始します。電源を切らないでください」と来た。あれよあれよという間であった。結局書きかけのブログは中断される羽目になった。普段より1時間以上遅れてブログを投稿した。

 妻が帰宅した時、事の顛末を話した。妻は「どこか知らないうちに押しちゃったんじゃない」と言う。確かに私は老化に伴い、自分では気が付かない行動が存在する。どんなに妻に私が誤動作をして「ウインドウズ10への更新」がなされたのではないと訴えても妻を説得することはできなかった。そのうちに自分でも「もしかしたら無意識のうちにどこかのキーを押したのだろう」と思うようになった。冤罪はこうして始まるのかと悲しかった。

 26日の朝、木曜日のブログを書き始める前にネットでニュース検索をした。『ウインドウズ10への更新、マイクロソフトの「汚いトリックと批判』を見つけた。クリックして読んだ。ああ、なんていうことだ。私は見事にトリックにはめられたのだ。書いてある:ウインドウズ10への更新を推奨するポップアップ右上の赤い「×」をクリックすると、ボックスがとじるのではなく、更新手続きが始まるからだ。・・・ウエブサイト「PCワールド」の編集者、ブラッド・チャコスさんは「汚いトリック」だと批判する。・・・マイクロソフトは、「ウインドウズ10への無料アップグレード特典が7月29日に期限切れになるので、ウインドウズの最良バージョンへのアップグレードを手助けしたい」と説明している。;ソーイー・クラインマン BBCニュース記者

 悲しくなった。これから人類はこうして人工知能に支配されるようになってゆく。選択さえできずに対面での会話、質疑応答もなく人工知能のトリックにはめられてゆく。舛添東京都知事が汚い政治資金の使い道を法的に逃れようとするのと同じく、一旦権力を握った政治屋や、地球規模での独占的企業になると有権者や顧客をしもべにしてしまう。宗教もしかり。

 パソコンを前にうな垂れる私に「しもべよ、やれるならやってみな、自分でできないなら、四の五の言わず黙って俺についてこい」と新しい画面でウインドウズ10がほくそ笑む。

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