団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

セカンドライフ問題 コスタリカ

2007年07月09日 | Weblog
 中川清著『花と絵とマジックと』新風舎発行を読んだ。中川さんのセカンドライフは、まさに花と水彩画と手品である。中川さんのエッセイは、歳時記である。花鳥風月が、見事に目に浮かぶ、美しい風景が描かれる。本の36ページに花筏のエッセイがある。以前中川さんに花筏の写真を見せてもらった。葉の中ほどに、花が咲いていた。花の咲いている場所が場所だけに、一瞬、私は手品をやる中川さんのいたずらか、と思った。

 旧ユーゴスラビアに、国民が愛し歌にも歌われている植物、コスタリカがある。赤い実が葉の真ん中につき、またその赤い実を大切そうに緑の小さな葉が被う。赤と緑のコントラストが鮮やかで、その形体も興味深い。コスタリカをはじめて見た時、ジプシー商人の騙しかと思った。私は、そのコスタリカの赤い実の風情が大好きで、ベオグラードの市場に出る季節が楽しみだった。コスタリカ好きの私の噂を聞いて、友人のジッカさんが、ある晴れた日に、ドライブに誘ってくれた。ベオグラードから車で一時間の所にノビ・サド市がある。ここの北部にコスタリカの丘、標高百メートルもない小さな丘がある。この丘全体が、コスタリカの群生地になっている。

 当時、ユーゴスラビアは経済制裁を受け、世界から孤立していた。NATOによる空爆は、時間の問題と言われるほど緊迫していた。ジッカさんが言った、「コスタリカはセルビア人の心です。この心を守るために、私たちはじっと耐えているのです。セルビア人はトルコの五百年の占領もコスタリカと耐えました。今度だって大丈夫。ごらんなさい、この見事なコスタリカを」 明るい太陽の光を受けて、コスタリカの赤い実と緑の葉は輝いていた。 

 妻に中川さんのエッセイを見せた。「花筏って、あなたの好きなユーゴのコスタリカ(なぎいかだ)と同科でしょう」と妻が言った。私はなぜか安堵し喜んだ。日本にもコスタリカの親戚があった。ジッカさんに写真を送った。中川さん、『花筏』をありがとう。いつの日か一緒にコスタリカを見に、セルビアへ行きませんか。
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